∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 節税、売名、それとも高貴の義務 ≡≡

ノートルダム修復への寄付金

 ノートルダム寺院が炎上した次の日から、世界的にも著名なフランスの大富豪や誰もが知っているホールディングカンパニーが修復に向けての寄付を発表しています。その額、今日の時点で1000億円を越えているとか。
 それに対して、寄付が税金控除の対象になっている仕組みを利用した節税行為だという声をはじめとして、売名行為だ、企業ピーアールだ、グローバル・ブランドによる囲い込みだ、などというような声が出ているようです。

 一件100億円以上と言われている個々の寄付金額を考えれば、そんな声が出ても致し方のないところです。しかも、極めて優秀な経営者らしい判断の速さや金額の明示、傘下企業の関わり方などをまとめて発表したところなども含めて、献金程度が精いっぱいの一般人から反感を買ってしまったのかもしれません。たしかに、宗教施設として数多くの人々からの浄財を集めて費用を捻出する方法が理想的でしょうからね。

 しかし今回だけは、大富豪からの寄付金や企業支援をベースにした修復プログラムと考えればいいのではないでしょうか。
 大富豪が貴族かどうかという議論もあるでしょうが、「貴族のような高貴な地位にある者は、それに見合った社会的責任と義務を果たさなければいけない」というノーブレス・オブリージュ思想を発揮すべき時と捉えたほうがいいのではないでしょうか。

 これまでよく言われてきた「戦時には先頭に立って戦うべし」ということだけがノーブレス・オブリージュではないはずです。フランスで生まれ、ヨーロッパ各国に広がっていったこの思想に応えられるかどうかも今回の修復に課せられた命題のひとつではないでしょうか。

[3092]