∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

スーパークールビズと茜雲

【暑い一日】


 今日も暑い一日でした。ちょっと歩いただけで汗ダク状態。なんだか、一日中水分補給で終わったような気もします。
 でも、少し湿度もあったのでしょうか。着ていたポロシャツが「塩を噴く」状態にならなかったので、やっぱり本格的な夏ではないのかななんて、暑さの中でピント外れなことを考えてしまったりもしましたが。
 と、考えながら打ち合わせ先のビルに。こんなに暑くてもやはり節電するのか、と覚悟を決めていたのですが、ビルの中に入ると意外と涼しくて、思わず「ホッ」。
 打ち合わせ先のスーツ姿の方とお会いしたところ「節電で室内温度を高く設定しているもので、暑くて申し訳ない」とのお言葉が。どうも僕の感覚と違うようです。ジャケットを脱いだり、ネクタイを緩めたりすれば、それだけで少しは快適になると思ったものの、そこはグッと我慢。人それぞれの考え方があります。
 きっと、この方にとってスーツは「裃」の延長、つまり「制服」なのでしょう。ビジネスマンはこうでなきゃ、と逆に感心してしまいました。なにしろ、こちらはポロシャツを着た「自由形」。ちょっと失敗したかなとも思いましたが。
 

 といってもスーツ姿を否定するつもりは毛頭ありません。
 きちんとタイドアップして、何気なく身体にフィットしたスーツを着る。もちろんパンツにはきちんとアイロンが掛り、ジャケットの背中にはシワもなく、ということができればですが。
 日本のサラリーマンのスーツ姿は「着ていればいい」という制服感覚、お仕着せ仕様が当たり前。ノーネクタイでいいとなると、シャツのボタンを胸元までガバッと開けてワイルド感覚で着てしまい、まるで「その筋」の方のようになってしまいます。
 どうも、スーツを自分のものとして着こなしている方はごく少数のように感じています。そんな国でのスーパークールビズが上手くいくとは思えないと予想しているのは僕だけでしょうか。
 ちなみに僕もスーツをきちんと着続ける自信はありません。なにしろ、汗っかきなもので、スーツもシャツもネクタイもグショグショになってしまい、情けなくなることが大半なのです。
 よく「アッこの人も同じだ」なんて方も見かけますが、あそこまで「右へ習えの制服姿」に固執しようとは思わないもので。
 「背広は精神力で着るものだ」とおっしゃった方もいらっしゃいました。こんな方はガチガチに冷えた部屋から一歩も出ることなく仕事を終わらせるんだろうなと想像しただけで、取り入れようとは思いもしませんでしたが。
 だからこそ、国が着こなしアイデアまで提案し、公認しないといけないんでしょう。
 はっきり言って「情けない」服装事情。きっと「右へ習へ」で上意下達(じょういかたつ)式にアイテムも色も着方も決まって行くのでしょう。結局、同じような不思議カジュアル系のサラリーマンが増えるだけのような気もします。
 どうせなら、政令でも出して、全員Tシャツで、とすればいいものを。


【茜雲】


 そんな皮肉を考えながら、ようやく夕方に。日中の暑さも少し引き、ちょっとホッとした時です。
 何気なく見上げた、ビルとビルの間から見える小さな空に小さな雲が浮かび、それが茜色に染まっていました。


 綺麗な雲だなと思いつつ、ゆっくりと歩いていました。
 見つけた時はまだ淡いピンク色だったものが、少しずつ濃いピンクに変化していきます。
 ちょっと大袈裟に言うと、ビル街を夕闇が覆い尽くす直前に自然がくれたエンターテイメント。その場で立ち止まり、すっかり暗くなるまで見惚れてしまいました。
 そして、何故か「アッ、これが山本一力の『茜雲』なんだ」という記憶も浮かんできました。
 ストーリーも季節も何もかも忘れてしまいましたが、その言葉だけが出てきたのです。物語の最後の一文だということは確かなんですが。
 確か、季節は季節は秋だったと思います。そして、主人公が新しい環境に歩み出す時に見た雲の色だったと思うのですが。勝手に作ってしまったのでしょうか。まあ、良しとしましょう。真実はもう一度読み返せば出てきます。
 今日のところは自分勝手に「茜雲は明日へのレッドカーペット」だと思っていましょう。


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