∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

広島・仙台・甲子園

【2011年8月6日】


 広島では、66年目を迎える原爆の日の平和記念式典が行われた。
 仙台では、江戸時代初期に起源を持つ七夕祭りが始まった。
 甲子園では、93回目の全国高校野球選手権が始まった。


【特別な日】


《広島》
 原爆の日の平和式典は、放射能汚染の恐ろしさを知り尽くし、その真実を後世に残す使命を担った日本人の誰もが祈りをささげる日であったはずなのに、福島で原発事故が起こった今年は、原子力に対する姿勢を再度問い直す式典になった。筆舌に尽くしがたい悲惨な体験をした人々を慰霊し、二度とこのような恐ろしい体験を繰り返さないように祈念する日のはずなのに……。
 これまで、日本人は原子力に対して何をしてきたのだろう。
 戦争兵器と平和利用は別物という考え方に立ってきた日本の原子力政策が決定的な岐路を迎えた今年、原爆で被爆し苦しみ続けてきた人々と、福島で放射能に怯え続けている人々のそれぞれがどのようにこの日を迎えたのか、想像しがたいほどの苦悩が両者にあると思う。
 兵器でも発電でも放射される放射線の威力に変わりはない。
これが二度目の誓いになってしまったが、「もう、悲劇は二度と繰り返さない」という誓いをもう一度繰り返し心に刻もう。
 一般論として、人類は常に新しいテクノロジーを開発した後で、そこに潜む危険を制御する技術を開発してきた。その結果、繁栄を手にした後で危険に直面するという愚行を繰り返してきた。そして「核」に対しても完全な解決策を手に入れる前に、またしても愚行を繰り返してしまった。
 これまでに被爆した人々全員に対する鎮魂の思いを常に心に抱きながら、真に平和的で安全に利用するための政策や研究や事業が行われなければ、先人に対する冒涜になってしまう。


《仙台》
 伊達正宗が伊達藩の当主だった頃、仙台の七夕祭りは始まったと言われている。その後、何度かの浮き沈みがあったものの、昭和21年に第二次世界大戦からの復興を祈願して現在の七夕祭りが始まり、今に至っているという、優に400年以上の歴史を誇る祭りが今日から開催されている。
 本来なら7月7日前後に行われるものだが、今年は大震災の影響でこの日からの開催になった。被災からの復興を誓っての開催。ここまで尽力された関係者の方々の努力には頭が下がる。
 大災害からの復興は資金があれば出来るというものではない。人々の熱意と決意がなければ決してスムースな復興は望めない。行われて当たり前のイベントが行われることで地元の人々の復興への取り組み方に弾みが付くはずだ。
 仙台が復興するための誓いを込めた、特別な意味を持つ七夕祭り。去年の七夕祭りが最後になってしまった多くの人々にとって、今年の「たなばたさん」はこれ以上ない慰霊の意味を込めたものになるだろう。


《甲子園》
 大震災の影響で開催日は多少遅れたものの、甲子園では夏の全国高校野球選手権が始まった。真剣に白球を追う高校生たちの純粋な姿を見ていると、単純に「ああ、日本の夏が来た」と思ってしまう。しかし同時に、今年は、大震災や放射能汚染のの影響を受けた多くの仲間たちを代表する高校生のプレーが観れるはずだという特別の期待も抱いてしまう。
 どのような結果が待っているか、まだ戦いは始まったばかりだが、結果よりも真摯で情熱あふれるプレーが繰り広げられることは間違いないだろう。
 大震災の影響で練習もままならず、悔しい思いをした選手も多く存在するはずだ。今年出場出来た選手たちは、そんな出場できなかった選手たちの思いまで感じ取りながらプレーしてくれることを切に願う。