∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ある復興支援

石原プロ


 何か大災害があると必ず支援の手を差し伸べる芸能プロダクションの石原プロモーションは「やることが派手すぎる」とか「売名行為」と言われても言われても堂々と支援を続けています。
 確かにやることは派手です。なにしろスタッフの中心メンバーが渡哲也、舘ひろし神田正輝という日本を代表する芸能人だから、何をやっても目立つし、派手に見えます。一流芸能人だけがもつ「人の心を捕まえるオーラ」が大爆発するのですから派手になるのは当然です。しかもあれだけのメンバーが何かをやれば当然のように売名だと叫ぶ人だって多くなって当たり前です。
 そんな石原プロの新年会で東日本大震災の復興支援の一環として映画『黒部の太陽』ノーカット版を上映する全国キャンペーンを行うという発表があったと、ニュースで伝えています。
 また、派手な支援です。なにしろ今度は石原裕次郎三船敏郎が主役なのですから。


 で、このニュースを聞いた時、ちょっと考え込んでしまいました。「これは石原プロだけが出来る脱原発メッセージなのかな」と。
 この映画、関西電力が黒部渓谷に巨大水力発電所を築くまでのドラマを映画化したもの。人跡未踏といってもいい地を開拓し、ダムを作り、水力で発電する。日本の高度成長期を支えた電力を確保するために多くの男たちが死と隣り合った場所で次々と発生する困難を乗り越えながら、ダムを完成させるという、まさに高度成長期の日本の姿を描き出したものでした。
 実は僕、始めて見た時は、ある種のドキュメンタリーとして見入ってしまいました。あまりの迫力に息をするのも忘れるくらいと大袈裟に言ってしまってもいいくらいです。


 と、素晴らしい映画なのですが……。原発で事故が起こり、放射能が拡散され、福島県が人的にも経済的にも想像を絶するくらいの被害を被った大震災へ向けた復興支援用に「水力発電所建設」を充てるというのは「どれだけの困難があっても水力のような自然から得られる発電形式を選ぶべきなのだ」という石原プロからのメッセージのような気がしてならないのです。
 確かに原子力の「げ」の字も出てこないし、一般人の安全性や危機管理などという難しい問題も出てきません。原発のような放射能モレなどというあってはならない事態も出てきません。純粋なドラマです。しかし、今の日本の状態では素直に観ることは難しいかも。
 少なくとも「何かが動く」きっかけになるのではと想像しています。初演の東京フォーラムでの反応に興味津々。さて、どうなりますか。


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