∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

訃報

【そんな……】


 友人からある方の訃報が届きました。メールの件名を見た瞬間「そんな……」と思い、文面を見て、もう一度「そんな……」と思い、お通夜やお葬式の日程を見て、ようやく「そうか、亡くなったのか」と諦めにも似た感情に包まれてしまいました。
 以前、勤めていた出版社でお世話になった大先輩でした。部署は違うし、仕事姿勢もまるで違う。どちらかというと「バリバリのうるさ方」でした。しかし、雑誌とは何か、仕事とは何かを彼独特の語り口で教えてくれた方でもありました。
 とは言っても、彼にとって僕は「できそこない」で「さほど期待していない存在」だったようですが。
 廊下ですれ違う時には、急いでいるような芝居を打って立ち話で捕まらないようにしたり、彼のいる部署に行く時はできるだけ出会わないことを祈ったりと「けむたい存在を避ける」時も多かったと記憶しています。しかし、いざという時には頼りにして頭を下げる存在。そんな先輩だからこそ、懐かしいのかもしれません。
 年齢を見ると70代前半とのこと。まだまだ若く、活躍して当たり前の年代なのに、早すぎるだろうと思いつつも、当時のことが次から次へと浮かんできている自分がいるのに気がつきました。
 忘れかけていた“仕事に対する熱気”を思い出したような気もします。


 Sさん。在職中はいろいろとお世話になりました。ありがとうございました。どうぞ、安らかにお休みください。ご冥福をお祈りいたします。


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