∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

薬で抑える

【穏やかだけど】

 一ヶ月ぶりに友人夫婦と夕食を共にしました。例の軽い認知症を患っている彼です。

 出会った時、ふと感じたのが「なんだかいつものような力がないなあ」ということ。どこかボーッとしているというか、我ここにあらずといった表情なんです。せっかくの定例会なので、いつもどおりに話をし、いつもどおりに食べるように心掛けていましたが、これまで以上に会話が続かない時間が多く、気がかりでしかたありませんでした。
 彼がトイレに立った時、奥様に聞いてみると、2週間ほど前から、興奮しやすく暴力的になってしまうのが日常的になってしまったので、やむを得ず前頭葉や側頭葉の活発過ぎる活動を抑える薬を増やすことになった、とのこと。
 この病に侵されてからずっと奥様は医師と相談して、その薬の服用を極端に減らすようにしていらっしゃったのに、ここへ来て、どうにも抑えられなくなったと。
 脳の活動を抑える薬は神経細胞に再生不可能なダメージを与えるということを聞いたことがあります。そのため奥様も彼の症状に悪影響がない限りは、たとえ感情の起伏が大きくても堪えて介護すると決意されていたのに、こんなことになるなんて残念です。
 正直なところ、今でも彼自身は自分の症状がどう変化したのか正確には把握できていません。彼の生活はすべて医療と介護がサポートしている状態です。
 彼自身の意思でもう一度「自分を見つめつつ、周囲の人たちを気遣う」状態に戻ってほしいと切に願っています。たとえそれが叶わぬことだと判っていたとしても。

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