∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

超倫理的手段発令

エボラ出血熱

 ギニアで流行が始まり、いまや死者が1000人を超えた『エボラ出血熱』に対してWHOが治験の終わっていない未承認薬を使用しても倫理的に問題ない、という結論を出しました。
 接触感染だけで広がり、発症した場合の致死率は90%。つまり「罹れば死ぬ」病気と言っていい伝染病です。
 これまでは、アフリカの風土病のように見られていたためでしょうか、世界的な脅威と見倣されていませんでした。ワクチンもなく、自然治癒に近い対症療法だけが治療方法のように思われてきたという、いわば「見放された病」だったと言ってもいいでしょう。
 ところが今回の流行は現地の人たち以外に治療に参加した各国の関係者にも多くの犠牲者が出、その人たちが母国に帰ってから亡くなっていることから世界的な広がりが懸念されるようになったわけです。
 そんな伝染病に対して、数種類の未承認薬であっても厳しい倫理規定の中で使用して、生存者を増やし、流行を制圧しようというのが今回のWHOの決定。インフォームド・コンセントをしっかりと行い、臨床データも100%記録することなどを条件にしていますが、つまり治験を治療に活用しようという試みです。医学的な倫理観からすれば、効くかどうかも判らないし、副作用も判らないという薬でもいいから挑戦しようという打開策といってもいいはずです。
 これがほかの病気なら、行き過ぎとか、勇み足と言われて当然の処置。しかし、背に腹は変えられない。それほど破滅的な危機が迫っているのでしょう、何の効果的な治療を行わずに死んでいくなら、かすかな希望であっても薬の効果にすがりつきたいという、第一級の危機感が産んだ判断でしょう。

 そんなワクチンの中に富士フィルムの関連会社が開発しているインフルエンザ用の薬剤が入っているとか。日本の知の世界がこんなところで浮かび上がってくるなんて、思ってもいませんでした。それもつい10年ほど前までは写真用フィルムの世界的なブランドだったメーカーだとは。
 今は、この薬が劇的な効果を上げて死の伝染病が制圧することを願うばかり。たとえイレギュラーな判断でも人が生きることがいちばんですから。

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