∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

医療と福祉

【きっかけはデング熱

 代々木公園から始まった今回のデング熱騒動はとうとう広範囲に広がり始めました。蚊から人へ。人から蚊へ。伝染病の恐ろしさを改めて知らされる伝播のスピードのように感じています。
 公園の閉鎖も代々木、神宮外苑新宿御苑、新宿中央というように山手線を基準とした場合、東京都心の西側の主要公園は軒並みに拡大しています。
 消毒と閉鎖によって感染、つまり「蚊に刺されないように」する公的作業も遺漏なく進んでいると認識していいと感じています。

 と、ここに至って、きっと浮上してくるだろうなと思っていた問題が。

 大きな公園には必ずホームレスが定住していますが、そんな彼らも閉鎖に伴って避難を余儀なくされ、都によって宿泊施設へ入居を勧められているとのこと。立場によって「この際、やむを得ない」と捉えるか、「コレを機に一掃を」と計画するか。ホームレスと公園及び福祉関係者のせめぎあいが始まったのではないでしょうか。
 今、東京では大規模なリノベーションを機にほとんどの定住型ホームレスが退去した上野公園を除いて、代々木や新宿という大きな公園には多くのホームレスが定住しています。千差万別の理由ですべてを失った彼らがようやく手に入れたブルーシートの我が家を去ることになったわけです。
 そんな彼ら、きっともう一度ここに帰ってこれるとは思っていないでしょう。彼らのなかには「山狩り」に遭ったようなものと感じている人たちもいるはず。解放されれば別の場所でのブルーシート生活を一から作り直そうと決意している人も少なくないのではないでしょうか。
 同時に福祉関係者からは、仮の宿泊施設から湾岸地域に建てられた無償住宅への転居を勧め、失っていた住所を取り戻して定職についてもらおうという動きが出るはずです。これまで達成率が多くて3割と言われてきた対策がなんと「蚊」によって強制的に進められることになったわけです。

 電気も水道もガスも揃った屋根のある所より、ブルーシート暮らしがいいという人も多いホームレスの世界に一波乱起こりそうな気配が濃厚です。
 ここからはデング熱との戦いがいつ収束するのかという問題と、ホームレスを減少させるという問題ふたつに注視することになりそうです。

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