∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

大寒の日

【一番寒い時期の地震

 今日は「大寒」。二十四節気では一年でもっとも寒い時期が始まる日とされています。

 20年前のこの時期、神戸は大震災に見舞われました。冬の夜明けまでまだ時間が掛る頃、大きく揺れる家の中で何が起こったのか判らないまま揺れが収まるのを待ち続けた無数の人たち。
 パジャマ姿で外へ出てみるとクや闇の中にボンヤリと家の残骸だけが見えている。どこかで声はしているけれど、崩れ落ちた家らしきガレキの下の方から聞こえてくるような気配。
 遠くからはサイレンの音が聞こえ、しばらくすると空が赤く輝き始める。
 一年でもっとも寒い時期だということも忘れ、寒さの中をパジャマ姿で家族の行方を探す人々。

 極寒の頃、阪神淡路大震災は起こりました。経験したことのなかった揺れの中で寒さは忘れ去られたのかもしれません。当初の混乱が少しだけ治まり始めた震災後5日目に神戸に入った僕でさえ、ガレキの山になってしまった神戸の町並みを歩いていて、寒さは少しも感じなかったのですから。
 我が母も含め、被災した方々は誰も経験したことのなかった状況の中、寒さよりも地震の恐怖に震えていたのかもしれません。いや、家族の行方が判らなくなってしまった方々にとっては無我夢中の捜索で寒さも恐怖も感じなくなっていたかもしれません。
 でも本当は寒かったでしょう。怖かったでしょう。オロオロしてしまったでしょう。本当に怖くて苦しくて悲しい経験をされました。街は綺麗に創生されたけれど人の心に届く真の復興はいまだに道半ば。あと何回か大寒を経験していただかなくてはいけないようです。いつの日か神戸の人々すべてが「いい街に生まれ変わった」と感じられる日が来ることを信じています。

 大寒というと阪神淡路大震災を思い出す。この条件反射に似た反応は一生消えそうにありません。

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