【今夜の彼は】
今夜はひと月に一度このブログに登場するおなじみの夫婦との定例会でした。
先にお伝えしておきましょう、今夜の彼は調子が良かったと。
今月は僕の誕生月ということもあり、趣向を変えてシェラスコにしようということになり、数日前に予約を入れておきました。あの串刺しにしてローストした肉が次々とサーブされ、テーブルで一切れずつに切って食べるブラジル生まれの肉料理です。
いつもは8時には寝る彼のことを考えてスタートは5時半から。きっと最初の客だろうなと思いながらお店に入ってみると、子供連れの家族が何組も先に肉に食らいついていました。
こちらも注文を済ませ、さっそくサラダなどのサイドメニューをテーブルに置き、食べ始めました。そんなところへ最初の串が廻ってきました。この店の場合、チキンとソーセージからスタートするようです。その後は続々とシェラスコ肉が廻ってきました。ヒレ、サーロイン、イチボなど14〜5種類。それぞれを一切れずつ取って食べていましたが、ここで彼の調子の良さがわかったんです。
「肉々しい牛肉もいいけれど、この豚肉もいいですね」と味について言い始めたのです。実は彼、認知症の症状が進むにつれて食べ物の味が分からなくなっているんです。しかも、いつもは自分から会話を始めることもありません。
そんな彼が味について話し始めるなんて、よほど調子が良かったんでしょう。これだけで今日は大成功です。
肉を食べ続けて約2時間。3人ともお腹いっぱいになり、肉の余韻に浸るようになって自然とお開きに。外に出て地下鉄まで送ろうとした時、もうひとつ彼の調子がいいことに気がつきました。きちんと足を前に出してゆっくりと歩いている僕たちと同じ程度のスピードで歩いているのです。
もともとは脳血管性だったものにレビー小体型認知症が加わってきた彼は、ここ1年ほど歩行も困難になっています。それがきちんと歩いているなんて、驚くとともに大感激。脳血管性らしい「まだら症状」もいい方向に振れているし、歩けるし。かなり調子よかったようです。この程度なら症状がないといっても通じるくらい。彼は僕にすばらしい誕生日のプレゼントを送ってくれました。ありがたいことです。あとは、こんな毎日が続くことを願うばかり。今夜のシェラスコが効果を表してくれるといいのですが。
ということで。明日が素晴らしい一日になりますように。おやすみなさい。
[1995]