∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

アメリカが変わる

【変化は時の赴くまま、憧れは永遠に】

 子供の時からアメリカに憧れていました。そんなアメリカが変わってしまいそうです。

 テレビを通して。アメリカ雑貨の店で買物をして。神戸港に入港してきた軍艦を見て。今とは比べものにならないほど豊かで華やかだったアメリカは子供心にけっして消えることのないピカピカと輝くような素晴らしいイメージを与えてくれました。

 時が経ち、興味が高まるに連れ、アメリカの暗部までも知りたくなって手当たり次第に読みふけりました。独立から間もない頃のWASPの振る舞いや搾取について、奴隷制度について、悪法や感情に流された政策、あるいは軍事上の保護主義について、公民権運動について、……。

 テキサス州の片田舎の教会で牧師さんから「ジャップに用はない」と言われたこともありました。
 ニューメキシコ州ではどんなレストランに入っても席は必ずトイレの前しか案内されませんでした。
 カリフォルニア州ネバダ州の州境に近い小さな町で、その町唯一のコーヒショップに入ったところ、シェリフが入ってきて、スミス&ウエッソンに手を掛けたまま監視されながらてハンバーガーを食べたこともありました。
 ニューヨーク州の北部にあるゲーテッドエリアに住む方の邸宅を訪れた時、その方から「このあたりもひどくなった。まだ黒人はいないけれど、ユダヤ人が住み始めたんだ。キミは日本人だから特別に許してあげるよ」と言われたこともありました。 マンハッタンでは少しだけだらしない服装でカフェに入ろうとした友人が「ミニマムフィーはひとり50ドル。チップは20%以上。英語しか通じないがそれでもいいか」と暗に入店を断られたこともありました。
 もちろん、成功者とそうではないマイノリティの格差をまざまざと見せつけられるのはどこに行っても日常茶飯事でした。

 それでも僕はアメリカに憧れと好意を持ち続けてきました。何があっても「これがアメリカなんだ」と納得していたんです。

 しかし、今回の大統領選挙で憧れは完全に消えました。傲慢な物言い、破壊的であとさきを見極めていないとしか思えない政策、自国企業の経営まで危うくするカノ性を秘めた世界の安定を無視した保護主義、そして言葉とは裏腹に見え隠れしている受益者クラスの実像。どれをとっても健全な政治が行える環境とは思えません。
 強引な経営で自社の繁栄を実現することと、他国、自国民を問わず敬意が払われる政治とはまったく別物ではないでしょうか。彼にはお金を稼ぐ手段と、自らを押し上げるためだけの票を稼ぐ手段しか思いつかないのではと思えてならないのです。

 しばらくの間、アメリカは強引で不見識な政治に翻弄されます。その間、僕は冷静な目でアメリカを見つめていくことにしました。少なくとも今年も含め2年ステップで行われる連邦議会議員選挙での結果と4年後の中間選挙の結果を見極めるまで、あるいは政策の行く末がアメリカに不幸な結果になることが現実のものになって変換が求められるようになるまでは距離を置くことにします。

 残念です。

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