∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

口が覚えている味

【やはり地元しか残っていないのか】

 「近いけれど、やっぱり違うな」。
 中学時代からの友人と久しぶりに出会い、お好み焼き屋さんで食べながらふと心に浮かんだのがこの言葉でした。初めて行ったお店でしたが思った以上に「上出来」。けっこう気に入りました。でもちょっと違うんです。

 実はこのところ、僕は東京にあるお好み焼き屋さんの中で納得できる店を探して彷徨い歩いています。その基準は「美味しい店」より「口にあう店」。つまり子供の頃から慣れ親しんだ味の店を探しているんです。

 僕にとってお好み焼きで「口に合う味」の基準の一部をお話ししましょう。
 生地には昆布出汁が入っているか、ふわっとなるように溶かれているか、キャベツは小さな四角に切ってあるか、細かく切ったちくわのようなものは入っていないか、ソースは甘すぎないか、ドロソースはあるか、鰹節粉と青のりは揃っているか、具材は生地に混ぜ込まずに上に乗せてあるか、具材に牛肉と真蛸とスジ煮込みはあるか、妙にマヨネーズに固執していないか……。
 と、こんな具合いです。この基準にかなり近いお店を3軒見つけましたが、ピタリと満たしてくれるわけではありません。

 食べたければ、しばらくご無沙汰している、神戸で食べろということなんでしょう。神戸ならいたる所にこんな基準を満たしてくれるお好み焼き屋さんがありますからね。それとも、違う味だと割り切れる「自分で焼く東京風のお店」にしたほうがいいのでしょうか。

 帰ればいいけれど簡単には帰れないという現実を食べ物でごまかそうとしているのが一番の原因。子供の頃に慣れ親しんだ味が欲しければ、その味を知った場所に帰って食べろということですね。

[2849]