∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

驕れる者久しからず、か

【茨の道のを歩む主役交代】

 ゴーン・ショックの続報が続き、日産自動車内部からも溜まりに溜まっていた不満が続出しています。強欲、人事の私物化、経費の私的流用……。すべてが事実だとすると呆れるようなことばかりが伝えられていますが、よく聞くと、規模が桁違いに大きいだけで、どこかで聞いたことがあることばかり。この程度では小説のテーマとしては使い難いでしょう。

 この事件、実際にモノゴトの推移を握っているはずのフランス政府や世界中の投資家、そして見てみぬふりを決め込んでいる日本政府という視点から見ると、コトの重大さが見えてくるのではないでしょうか。

 開発力には劣っているが資本だけはしっかりとしていたルノーが明日をも知れぬ身の上だったニッサンに資本投下した当時のことから掘り起こし、ニッサンカルロス・ゴーンの優れた経営能力のリードで垂直復活した頃、そして会長の驕り高ぶりを止められなくなった経緯と側近たちの心理状態、一時的なスキャンダルと会社の存続を天秤にかけて後者を取った現在。これにここからの展開を翻案したストーリーが組み合わされれば、のちのち出版化できるような「ひと味違った報道」になると思うのですが。

 ──「それなら自分でやってみろよ」。そんな声が聞こえてきそうですね。──

 強欲の果ての失脚。今回の事件は驕り高ぶる者の行末と、義憤に駆られた者の混乱が世界を舞台にして表面化した典型的なケースだと感じています。となると、驕り高ぶる者の行末が見え隠れし始めた今、次に問題になるのは義憤に駆られた者たちの判断と行動が試される時が来るはずです。そして、その時こそ国際政治と資本の力が本性を表す時です。
 「カルロス・ゴーンの役目は終わった。次は誰に現場を任せようか。資本のバランスも考え直さねばな。いや、どこかで幕引きさせるか」。そんなことを考えている“誰か”は表に出てこないにしても、次に主役に抜擢される者も会社も茨の道を進むことになるのは確実ではないでしょうか。

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