私企業の使命と公益性の狭間で
昨日、日経新聞のITコラムを読んでいた時、ツイッター本社が大胆な発表をしたというニュースに行き当たりました。
要約すると「大統領選挙を前にして、10万人を超えるフォロワーのいる選挙活動中の政治家や政府関係者の投稿に不適切な内容が含まれている場合はユーザーに事前警告して、有権者を混乱させるような情報の拡散を防ぐ。ただし、発言を残すことが公益に値するため警告をクリックすれば内容を読むことが出来る」というものです。
これまでもツイッターは、人種・性的指向などへの攻撃や嫌がらせ、威圧的あるいは尊厳を低下させるような発言や画像は「ツイッターの規定に反している」として表示されないようになっていましたが、今回の決定はその延長線上にあるものと考えてよさそうです。
それにしても、大統領選を目前に控えた決定とは……。
トランプ大統領の過激すぎるツイートがツイッターにここまでの決定をさせることになったのは火を見るよりも明らか。日本を含めた世界の政治家の皆さんは絶大な“影響力”をもつトランプ大統領にクレームを出したほうがよさそうです。
あらゆる視点から発信される無数の情報を伝えるのがツイッターの特性であり使命でしょう。しかし、悪意をもって利用すればこれほど強力なプロパガンダを拡散できるものもありません。
しかし、公益性という大義名分に並行して私企業にここまでの規制が許されるのかという問題も発生するはずです。ツイッターが実質的な“国際的な情報統制機関”になってはイカンとする勢力が出てきてもおかしくないでしょう。
今回の決定は、いわば“訴訟要因”という地雷を自らばら撒くものなのかもしれません。
とはいっても、当面のターゲットはトランプ大統領です。フェイクに続くどんな言葉で攻撃してくるか、あるいはとんでもない大統領令で対抗するか。そんな氏に対抗するにはこれくらい厳しい対応があって然るべき……、なんでしょうね。
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