∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 「お山は雪だんべ」 ≡≡

そろそろ冬支度、その前に

 「富士山に初冠雪」。

 今年も冬支度に備える時期がやってきました。報道によると白い帽子を被った富士山の山頂はマイナス3度程度だとか。地上は秋半ばとはいえ、そろそろ冬支度の心積もりをする時期になったようです。

 富士山の冠雪で我が父の口癖を思い出しました。
─「お山は雪だんべ」─

 僕の幼少期、報道と言えば新聞が中心でした。しかし当時の新聞は政治や事件を文字で報道することがほとんどで、写真で季節の歳時記を紹介しようなんて気の利いたことはなかったように記憶しています。ちなみに、ようやく普及し始めていたテレビに報道を期待するなんて考えてもいませんでした。
 当然、いつ富士山が冠雪したかなんて知ることもなかったし、知ろうとも思わなかったと記憶しています。

 そんな時代、寒さが厳しくなり、ストーブに火が入る頃になると父は僕に「お山は雪だんべ」と語りかけるのが常でした。
 とはいっても、富士山がどうだ、北海道がどうだなんてまったく関係なし。単純に寒くイコール雪という図式から出た言葉だったと思います。
 いま思うと、寡黙だった父にとってこの言葉は幼かった僕に語りかけようとした唯一の“世間話”だったのかもしれません。そして、僕にとっても父と繋がった瞬間だったように記憶しています。

 富士山の初冠雪─冬支度─父の言葉。
 なんだか、僕も幼少期の記憶を思い出したおかげでホッコリした気分に浸れそうです。

[3279]