∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 七草 ≡≡

風習だけが残った故事

 せり、なずな、ごぎょう、はこべ、ほとけのざ、すずな、すずしろ。これぞななくさ。

 子供の頃、正月が明けてしばらくすると、祖母が作った細かく刻んだ野菜が入ったお粥を食べさされていました。
 ちょっと苦味のある「せり」と蕪や大根の赤ちゃんのような「すずな」や「すずしろ」までは判るけれど、ほかの野菜は「その辺りから摘んできた雑草」としか思えないようなものばかりが入った薄い塩味のお粥。今となっては懐かしい思い出ですが、当時は、どうして食べなきゃいけないのか疑問に思うことばかりの食べ物でした。

 調べてみると、この七草がゆ、もともと邪気を払い万病を除くものとして食されていた料理で小正月(1月15日)に食されるものを七種、七日正月のものを七草と称した「冬野菜を食べる習わし」だったが、今では縁起も判らなくなり風習が残っているとあります。つまり僕は、よく判らないまま「食の儀式」に参加していたわけです。

 今では、食べることをあきらめて、寄植えにして楽しむことも多くなったこの七草と同じように、形だけが残っている風習や文化は世界中に数多く残っているのではないでしょうか。
 日本のことだけを考えると、正月(1月)には七草と同様に、素朴な風習の中だけに残っている“いにしえ”との接点を見つけ出せるキーワードが数多く残っているように感じています。

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