『キッチン南海のカツカレー』
カレー激戦地と言われている御茶ノ水界隈のカレー屋を何軒も食べ歩きをした結果、残ったのは『エチオピアのチキンカレー』と『キッチン南海のカツカレー』だった。
特に『キッチン南海のカツカレー』は神保町にいるというだけで無条件に食べたくなるような、ある種の中毒性を持っている。
こんな極私的なカレー論までぶち上げてしまいそうになるのが『キッチン南海のカツカレー』なんです。
けっしてキレイな店でもないし、サービスが丁寧なわけでもありません。盛り付けだって、ご飯とキャベツの千切りと薄いカツが一緒盛りになっているところに野菜が完全に溶けた黒いルーをドバっとかけただけの無骨な盛り付けです。流行りのインスタ映えとは正反対の世界に位置する洋食屋のカレーでしかないんです。
それなのに、それなのに。魔法に掛かってしまったかのように、何故か食べたくなってしまうんです。
昨年は、あまりにも衝動を押さえきれずに食べすぎてしまったので今年は少しセーブしようと思っていたのですが……。店の前を通りかかっただけで、順番の列に並んでしまったのです。今年もハマったかなと思っていたら、中から「おひとりさん、どうぞ」の声が。
いそいそと店に入ったら「目の前に置かれたカレーを貪り食う」以外の思考経路が遮断されてしまうのもいつもどおりでした。
「今年もお世話になるのかな。いや、自制心を働かせてセーブしろよ」。満足感に浸りながら神保町のさくら通りを歩きながら考えていたのはこんなことばかり。きっと、中毒症状というのはこういうのを言うんでしょうね。
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