∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 『すがも園』廃業 ≡≡

6月半ばに店を閉めます

 ちょっとしたヤボ用を片付けに、あの「おばあちゃんの原宿」と言われている巣鴨に行ってきました。久々ということもあり、せっかくなのでとげぬき地蔵にもお参りしてきましたが、それはさておき。
 ヤボ用を済ませ、帰宅しようとしたときのことでした。
 甘味処を見つけても素通りできるほど糖質制限が習い性になっているのに、何故か、地蔵通の入り口近くにある『すがも園』が気になってフラフラと近寄ってしまったのです。


 店頭では名物の塩大福などの甘味がズラッと並び、店内では和洋中の食事と甘味が楽しめるこの店に初めて行ったのは50歳を少し超えた頃でした。

 「はい、おまたせ。ボクチャン何にする」。

 メニューを見ていた僕に店員さんが最初に発したのはこんな言葉でした。正直にいってビックリ。50歳を過ぎたオッサンが食堂に入って掛けられる言葉とは思えなかったのです。
 唖然としながらその店員さんを見つめると、そこには70歳は優に超えているオバアチャンが。フレンドリーな態度とにこやかな笑顔で接してくれている彼女から見れば僕なんて「ボクチャン」でしかなかったわけです。妙に納得してしまい、即「あんみつください」と言ってしまいました。
 店の中をキョロキョロ見渡していると、山盛りのフルーツで寒天もあんこも見えなくなっている「あんみつらしきもの」が運ばれてきました。
 またもやビックリです。あんみつに乗っているフルーツと言えば缶詰のチェリー程度のはずなのに、出てきたものは「よくぞここまでフレッシュ・フルーツばかり載せられたな」と感心するくらいの代物でした。
 なにしろ“ボクチャン”の僕としては、注文と違うとも言えず、置かれた伝票をそっと見てみると「あんみつ1」と書いてありました。間違いではなかったのです。

 それから10年以上、糖質制限をし始めるまでは、巣鴨に行くたびにこの店で休憩していました。それなのに……。


 曖昧にしか答えてもらえませんでしたが、客層が高齢者ということもあって、いち早く自粛休業していたところに緊急事態宣言が出てしまい、さすがに耐えきれなくなったというのが本音のようでした。

 入る気もなかったのに何故か足が向いてしまったのも神のお導き。廃業間近と悟った『すがも園』が最後のお別れに呼んでくれたものかもしれません。

 まだ時間は残されていますが、それでも、「おばあちゃんの原宿」の名物店のひとつが天寿を全うしたと言わせてください。ありがとうございました。

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