共存? 強制?
Hummer and danceとかHummer and nailsというように英語の慣用句のなかにはHummer and‘something’というものがある。
今年の3月、その慣用句群にHummer and danceが仲間入りした。極めて大雑把に言えば、徹底的な感染予防策でコロナを抑え込むことで、必要以上に恐れることなく、いわばダンスを踊るような気持ちで共存していくという意味になるだろう。
そのアメリカで発表された論文を日本で最初に引用したのはIPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授。この発表を機に日本に“コロナと共存する”という考え方が定着したと言ってもいいだろう。
私もこの半年間、なるほどおっしゃるとおりと信じてきた。しかし、コロナの第三波が襲来してきた今、その意味に疑問が湧いてきている。
つまり、今の私は「コロナと共存する」というポジティブな捉え方ではなく、「ハンマーを振りかざしたコロナウィルスに取り囲まれながら踊らされている」のではないかと思い始めているのである。
理想論かもしれないが、病と社会生活や経済の両立を目指すなら、誰もが納得できる万全のコロナ対策を取った上で、行動的な社会生活と活発な経済活動へのアプローチがあってしかるべきはずだが、現状をみるとどうもそうではないようだ。
感染予防策を取ることは国民一人ひとりの問題。たとえ感染者が増えても、現在の最大課題である経済復興策を実行していく。ワクチンさえできれば感染症は抑え込めるが、待ったなしの経済状況を救うには、ある程度犠牲者が増えてもやむ無し。
政府内には、そんな空気が流れているのではないだろうか。「コロナよりお金」という発想が行き過ぎないようにしてもらいたいものである。
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