∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 春間近 ≡≡

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渡り鳥の“北帰行”が始まると
東京・上野の不忍池に春が訪れる

 東京・上野の不忍池は、春は桜、夏は蓮の花、秋は紅葉、冬は渡り鳥と四季折々に表情が変わっていく自然の宝庫だと私は思っている。
 その不忍池で昨年夏盛りを迎えていた蓮の枯れ枝が刈り取られ始めて数週間経つ。実は、地元民のなかにはこの風景を見て春の兆しを感じ取る人が多い。

 ところで、枯れ枝は例年通り池の端から15~20メートル離れた所までしか刈り取られず、池の中心部には茶色い枝が残ったままになっている。
 この状態を見て「どうして全部きれいにしないんだ」と疑問をもつ観光客もいると聞くが、実はこれには大きな意味があるのだ。
 簡単に言うと、池一面に広がった枯れ枝は、晩秋に飛来した渡り鳥たちがゆっくりと羽を休め、新しい命を育てるための巣として必要不可欠な存在なのだ。いわば、人が手を触れてはいけないメイドバイネイチャーの贈り物なのである。

 気温が上がり始め、不忍池で生まれ育った小鳥たちが親鳥に連れられて北の国へ帰り始めると、長年観察を続けている渡り鳥の研究者集団が公園管理者にアドバイスをして刈り取りがはじまる。ちなみに、中心部に残った枯れ枝はそのまま朽ち果てて今年の夏に咲くはずの蓮の肥料になっていく。

 渡り鳥の“北帰行”が始まり、蓮の枯れ枝刈りが終わると今度は池の周囲に桜の花が咲き始める。
 北帰行から花見へ。今年も自然の循環に感謝する時期がやってきた。

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