墓参りにはいつ行ける
私の父と母は神戸の高台に眠っている。
ちょうど一年前の今頃、私はお彼岸の墓参りに行くために日曜日の早朝便で行き、同日の夕方便で東京に戻ってくるエアチケットを予約していた。
最初に予約した時は増加率は緩やかだったが、その日が近づくにつれてコロナ禍が急拡大し続けるようになったため、拡大が収まるのを待つために、予定を2週間ズラすことにした。
「東京からの来訪者お断り」の機運も高まっていたので、当初は延期もやむ無しと納得していた。しかし、いつまで経っても新規感染者数は減少しないし、むしろ増え続けていた。
これはただごとではない。神戸で生まれ育ったとは言え、東京人が板についている人間が神戸の人たちに嫌な思いをさせるくらいなら行くのを止めよう。春のお彼岸は諦めて、秋になったら行こうと決めたのは最初のキャンセルから数日経った頃だった。
つまり私は1回の墓参りのために2回もチケットをキャンセルしたわけである。そしてそれ以降は墓参り自体を自粛している。同時に、秋のお彼岸を目処に行ければ幸運という覚悟も出来ている。
店が潰れるかもしれない瀬戸際に立っている方や、新しい仕事が見つからず四苦八苦している方からすれば他愛もないグチだということは分かっている。私自身も“心のけじめより生活の安定”だと思っている。しかし、しかし、である。
……いったい、いつ墓参りが出来るのだろう。
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