ここを乗り越えれば
夢と賑わいのある新しい街に
出会えると信じて
10年前の今日の2時46分過ぎ。私は地下鉄の階段を降りながら強い目眩に襲われたように感じ、その場に座り込んでしまった。しかし、どうも様子が違うぞと気付き、そっと周囲を見渡したところ、誰もが戸惑いの顔つきで足を踏ん張ったり座り込んでいる風景が飛び込んできた。こうやって私は東日本大震災と向き合うことになった。
あれから10年。長いようで短く、短いようで長かった時間が過ぎていった。
原発被害で時が止まったままの地域は残ったままだが、多くの地域で復興の土台となるインフラ整備が進み、これから真の復興が始まろうとしている。
一瞬にして日常を奪われ、先の見えない生活に突き落とされた地元の人々にとっては唯一の目標であり、心の支えだった“復興”が、“真の復興”に姿を変えようとするスタート地点に付いたわけだ。
行き交う人々の温もりや息吹や人声を感じてこそ街の風景。これから本格的に始まる新たな街づくりがそこで生きる人々にとって夢と賑わいのあるものになることを願うばかり。陰ながら応援し続けていきたいと思う。
今日の時点で関連死を含めた死者と行方不明者は約22,200人。亡くなった方々には祈りと合掌を、行方不明の方々には願いをそれぞれ捧げたい。
そして、被災地で行きている方々や遠く離れた地に避難したままになっている方々には、消え去ったものを記憶の中に収め、新たな姿で暮らしを創生するという途方もない挑戦に挑み続けている方々には最大の敬意を捧げたい。
[0311 - 3717]