ということは……
報道では「一都三県に出されている緊急事態宣言が21日に解除される」という観測気球が盛んに上がっている。
まだ公式な発表もなく、伴う条件も何も示されてもいないのに解除という言葉だけが独り歩きし始めているようにも思えるが、政治的に状況を判断すれば、それもやむ無しと思える。
なぜ感染者数が増え続けているのに解除なのかを解明するにはこれからの施政者の発言を分析していく必要があるだろう。しかし、どうなっていくかは素人でも分かるような気がする。
簡単に言えば、コロナが野に放たれ、感染者は急増する、である。
我々はほとんど制約らしい制約もないまま、自身の緊張感だけを頼りにコロナを予防してきた。
飲食業の感染症対策といっても自己評価、自己申告の対策だし、テレワークの推奨も金銭的な裏付けもノウハウの提示もない状態でのお願い。施策として進んだのはコロナ禍に対応した保健行政や医療体制の再構築だけだったのでは思えてならない。
言い換えれば、個々の行動様式に関わるファクターが多い予防よりも、罹患者が増えても決定的な事故が起こらないようにして、ワクチン接種が行き渡るまでしのごうとしてきたと言ってもいいだろう。
進んで言おうとは思わないが、悪意を持って今回の解除を捉えれば、国や自治体は「感染するかどうかはあなた次第。感染源がどうであろうと重大視しません。ワクチンも乏しく、特効薬もない状態ですが、我々は重篤な症状の患者を見殺しにしない体制を作ります」と言っているようにも思えてくる。
コロナ禍の新たなフェーズの課題は「感染したくなければ知っている限りの知識を総動員して予防と忌避行動に努め、感染したら不運と諦める」という悟りの世界になるのかもしれない。
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