▲『清明の候』‥清浄明潔・桜散る
報道に惑わされないように。
お忘れなく、今は試運転期間です
ニュースでは「高齢者向けのワクチン接種が始まった」と盛んにアナウンスしている。映像は会場と接種しようとしている姿、インタビューは接種後の状態と浮かび上がった問題点と、どれもこれも同じパターンである。
ようやく接種が始まったのだからニュースになるのは当たり前だが、大騒ぎし過ぎではないだろうか。
今回配布されるワクチンはごく僅か。行政側の準備や運営方法に問題点がないかを確認する実証実験程度のものである。何人に接種できたとか、副反応はどうだったかというような成果を問う時期には至っていない。
“試運転期間”“実証実験”“お試し期間”。どんな取り扱いでもけっこうだが、ゼロだったものが急発進したかのような取り上げ方は「事実を増幅して注意を惹こうとする」だけに終わってしまうもの。あまりにも薄っぺらな取材と言われてもやむを得ないだろう。
小さな事実を可能な限り膨らませて伝えるのは、その手法に長けているほかのメディアに任せたほうがいい。手腕だけで比較すればアチラのほうが圧倒的に上手いということを忘れないでほしい。今や“ショボい取材”ならSNSで充分。報道の御旗を掲げるのならほかの方法があるはずだ。
[0413 - 3750]