∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 方針一転異議なし ≡≡

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危機を乗り切るために
既定路線を撤回した
臨機応変の対応

 昨日までのまん延防止措置が分科会メンバーからの強いアドバイスによって方針が一転して緊急事態宣言発出に。今夜のニュースは政府のこの方針転換に集中していた。
 だが、その中身は“なぜ”を追求しないお約束のものばかり。インタビューも反対のための反対に徹する野党の「政権として失格」という意見や、我関せずの立ち位置を守る政権側の政治家は「ワクチンが遅い」か「分科会の反乱」という意見。これから自分が置かれることになる立場を忘れている市民からは「戸惑い」「後手後手」と発出がまるで対岸の火事のように当たり障りのない意見というような表面的なものがほとんどだった。
 それに対して、これまで政府の指針には反対することのなかった分科会メンバーがなぜ強く反対したのか、その根拠はどこにあるのかという核心に迫るような取材はごくわずか。政府があらかじめ分科会からの反対を想定していたのかどうかに至っては秒単位の報道でしかなかった。

☆☆☆☆☆☆☆

 強い制限と引き換えに、高い効果が期待できる緊急事態宣言に方針を一転させることがそんなにいけないことなんだろうか。
 人さまから言われたかどうかを問わず、定石どおりに進めようとしていた方針が的を得たものでないと判断した時でも頑なに既定路線を守ることが重要なんだろうか。

 私は、今日の方針転換を見ていて、日本が敗戦した本質を研究した『失敗の本質―日本軍の組織論的研究(中公文庫刊)』という本を思い出した。
 この論文では敗戦に至る転換点を「ミッドウェイ海戦」と規定し、その理由を、正しく状況判断を下した若手参謀の提案を受け入れず、上級参謀が決定した手前勝手な作戦どおりに展開したことと、上意を受け入れるのが軍人の勤めと捉えていた現場にあったと結論づけている。

 この失敗の本質を応用し裏返して考えた時、今回の方針転換は、政府と分科会のパワーバランスが変化することさえ臆することなく受け入れた臨機応変な即対応と言えなくもない。
 大袈裟に言えば、これまでの総理の決断のなかでもっとも大きな意味を持つものと言っていいかもしれない。

 政府に課された課題の本質はコロナ禍を収束させることで、そのためには、自らの考えとは違っても、専門家や現場の意見を取り入れたほうが理にかなっている。
 今日の一転騒ぎを機に政府の立ち位置が変わってくれるといいのだが。

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立夏の候』‥夏の始まりは新緑と薫風から
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