∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ ノーベル物理学賞 ≡≡

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この季節になると思うこと

 日本で生まれ育ち、のちにアメリカ国籍を取得したプリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞に選ばれた。

 報道によると、大気の動きだけが気象の研究対象とされていた60年ほど前から、海水の動きも組み合わせた全地球的規模の研究を続け、最終的に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素濃度の上昇をコンピュータを使って分析する基礎を築いたことが受賞理由とのことだが、これ以上のことは例によって例のごとく理解不能なことばかりである。

 かろうじて理解できたのは、この研究が現在の気候変動を解析していくために欠かせない基礎研究で、地球温暖化の研究やSDGsを実践していくためには欠かせない基礎研究だということだけだ。


 現在、日本では科学の基礎研究がないがしろにされ、応用研究でさえ冷遇されることもあると言われている。簡単に言えば「目先の金になるものを優遇する」ということになるだろう。

 はっきり言うようだが、このままでは日本は科学的後進国になるのは目に見えている。
 何事も基礎を築くことがもっとも苦しく時間が掛かるものだが、基礎さえ築ければ、応用分野での拡大も拡張もその基礎研究を下敷きにすれば短時間で実現出来るようになる。応用はいわば“肉付け”のようなものである。

 昔から“何の役に立つのか分からない”研究でも予算を充分に配分してきたアメリカ。国威発揚のためにも基礎研究は欠かせないとその大切さを見抜き、論文発表や実績と引き換えに潤沢な予算を与え続けている中国。
 このふたつの国をみれば分かるように、基礎研究という名の“原点作り”を大切にする国は知らず識らずのうちに科学大国になり、結果、大国に成長していく。

 日本は、そんな正論に背を向けて、多くの基礎研究の中に、のちのち大きな富を生む金の卵が隠れていることが分かっていても、目先の利益を優先させる道を選んできた。
 今回の真鍋氏のように、研究を続けるために日本を脱出した研究者が増えているというのはそんな姿勢へのアンチテーゼと受け取って差し支えないだろう。

 数十年後、世界各国から“科学後進国”と言われることにならないよう願うばかりである。

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秋分』‥秋の彼岸。夜が長くなり、駆け足で秋が深まる頃
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