∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 『名誉ある撤退』 ≡≡

f:id:Yutaka_TAWARA:20210126140913j:plain

世界中から見放された
ロシアに残された手段は
名誉ある撤退しかない

 ベトナム戦争が混迷を極めていた1968年、大統領選に立候補したニクソン氏は、ベトナム戦争からの『名誉ある撤退』を選挙公約に掲げ、現職のジョンソン大統領を破ってアメリカの第37代大統領に就任した。
 就任後、中国からベトナムへ兵器や補給物資を運んでいたホーチミンルートを壊滅させるためにラオスカンボジアに侵攻したが、さらに戦争を拡大させることになった。
 その後、4年以上続いた和平交渉の末に1975年にベトナム戦争は集結を迎えたが、その時アメリカの敗北を正当化するために語られたのが『名誉ある撤退』だった。
 戦略そのものの失敗、ゲリラ戦での苦戦。肥大し続ける軍事費。おびただしい死者、報道によって全世界に知れ渡ったアメリカの非道。想定以上の世論の反発。どの課題にも対応させた戦争終結には“名誉”がなによりも必要だったのだ。

 そして今。ウクライナに侵攻したロシアも当時のアメリカ同様に『名誉ある撤退』を迫られている。
 ゲリラ戦を挑んだウクライナ軍の想定以上の抵抗。予想以上の戦死者。マスメディアとSNS両方から世界中に即時配信される情報。制裁という言葉が生ぬるく感じられる経済封鎖。国際社会からの徹底的な締め出し。
 終結─つまりプーチン大統領が負けを悟るまで、あるいは夢から覚めるまで─には正当化された理由や時間が必要になるだろう。しかし、その時期が早ければ早いほど戦後処理の負担が減ることは確実である。

 日本時間3月2日深夜。そろそろ2回目の停戦交渉が始まろうとしている。まだ2回目なので合意には至らないだろうが、これ以上歴史に汚点を残さないためにも早急に“正当化されたように思える名誉”を探るべきだ。
 プーチン大統領。このままでは、あなたがロシアを落ちぶれさせることになる。
 今すぐにでも夢から覚めて、ロシアが置かれてしまった立場を見つめ直していただきたい。
__________________________
[season12/0302/25:20]
『雨水』‥春間近。雪どけ。春を呼び込む雨。そして北帰行。
photograph:MIGRATORY BIRD/sinobazu pond, ueno
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄