∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 演説の超絶技法 ≡≡

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ゼレンスキー大統領は
演説で世界を味方につけた

 国会でのウクライナのゼレンスキー大統領の演説を聞いていて「なるほどチャーチル以来と言われるだけの名演説」だと感心してしまった。

 氏はEUを含め支援を寄せている多くの国でリモート演説を行ってきた。
 どの国で演説する場合も、それぞれの国民性や身近な問題を取り上げて聴衆の心を掴んだ後、これまでの支援の実績と感謝を述べ、最後に共感を呼ぶはずの要求を伝える。しかも触れないほうがいい話題は避ける。これが氏の手法と言ってもいいだろう。
 ちなみに、国民性や身近な問題についてのキーワードには「シェイクスピア」「真珠湾攻撃」や「ナチス」「ユダヤ人への迫害」「ウクライナとヨーロッパの関係」などが挙げられるだろう。また、要求の代表格は「追加の軍事支援」「壁を壊す」「ウクライナユダヤ人を救う」などのキーワードが挙げられるだろう。
 推測だが、日本での演説で触れられなかった「北方領土問題」はロシアを必要以上に刺激しないための策だったのではないだろうか。

 この手法で語られて共感を感じないままでいるのは難しい。なにしろ導入部分で話の行方に取り込まれているのだから。
 しかもゼレンスキー大統領は、どんな場合も原稿を読まず、目線をカメラの方向に向けたまま語り続けている。人の心を掴むためには目線を逸らさないという説得術の基本そのままである。

 第二次世界大戦で時のイギリス首相チャーチルは身近な話題から入って最後に国民を鼓舞し、奮い立たせる演説を毎日のように行ったという。ゼレンスキー大統領はよほどチャーチルの手法を勉強したのだろうか。まったく同じ手法である。

 この演説巡礼は計り知れない支援と共感・協調を引き出し、世界各国に微かに残っていたロシア対ウクライナという図式を完全に払拭させる効果があったと私は確信している。
 ゼレンスキー大統領は24日に行われるNATOの首脳会議でも演説をする予定だという。陣営への参加が許されていないにも関わらずである。そうなれば、パワーバランスに大きな変化が起きることは間違いない。
 ある意味、氏は演説で世界を変えたと言ってもいいだろう。

 さて。その時、日本は何ができるか、どう動くか。演説の中でゼレンスキー大統領が暗示していた「平和的な人道支援」をどう解釈するかまで課題になってくるのではないだろうか。
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[season12/0323/25:20]
春分』‥春の彼岸。この節気を境に陽光の降り注ぐ時間が増えていく
photograph:SUNRISE hits tokyo sky tree
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