∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ プロパガンダの素朴な疑問 ≡≡

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完全制圧したので
武器を捨てて投降せよ

 4月16日、ロシア国防省は「ウクライナ・マウリポリにいたウクライナ軍やアゾフ連隊や傭兵は完全に排除された」と発表した。その後17日になって「17日の正午から午後7時の間に武装解除して投降せよ。投降した兵士の命は保証する」と発表した。
 一方でウクライナ政府は「イリイチ製鉄所を拠点にしていた兵士以外、これまでに投降した兵士はいない。もしウクライナの兵士が全滅すれば停戦交渉は中止されるだろう」と発表している。

 これらの発表を知って、軍事に関してはズブの素人の私は素朴な疑問を抱いてしまった。

 なぜロシアは、完全排除されたはずの兵士に対して投降を呼びかけているのだろう。排除したというのなら投降を呼びかける必要性はないはずだ。先に投降を呼びかけて、それに従わなかった兵士を全員殺害した時点で完全排除と発表するのが順序ではないだろうか。

 それとも軍事作戦の場合は「排除」「制圧」「占領」という言葉の使い方が違うので、この順序で正しいとされているのだろうか。

 一方で、ゼレンスキー大統領は「全滅したら停戦交渉は中止されるだろう」と発言している。この場合の「全滅」は兵士全員の死亡ではなく、戦闘停止を意味するものと受け取っていいのだろうか。もし全員死亡なら先に投降している兵士が生き残っている限り停戦交渉は続けられることになる。

 プロパガンダの法則を使って読み解いてみると、ロシアの発表にはかなり無理がある。時系列を無視したうえに、映像を介さず言葉だけで発表した“事実を誇張した恫喝”としか思えないのだ。
 ゼレンスキー大統領やウクライナの中枢もそう考え、現地と連絡を取ったうえでこの発表を逆利用することにしたのではないだろうか。

 それにしても、ロシアの情報戦略は稚拙過ぎる、というか旧態依然過ぎる。
 彼らは、軍事通信に留まらない衛星通信を利用した報道や、誰もがリアルタイムで発信できるSNSなどの“情報拡散の現実”を考慮しないと効果がないということを学習していないのだろうか。
 もっとも、ロシアが虚勢を張ったウソの垂れ流しを繰り返している限り戦況の推移はウクライナに傾くはずなので、このままでもいいのだが。
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[season12/0417/24:50]
清明』‥春の息吹きが、万物に溢れるほどの生命力を与える頃。
清明末候』‥虹始見(にじはじめてあらわる)。雨後の虹が幸運を呼ぶ
photograph:cherries are out of bloom, nishisimbashi, minato city
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