授業で暗記した
年号や国名よりも
地政学的な知識が必要
ニュースではフィンランドのNATO加入がほぼ確実になっていると伝えられている。これまで中立を貫いてきた国がロシアの暴挙に見かねて軍事同盟に加入しようと動き出しているのは納得の出来る選択だと思う。
軍事費の増加や緊張感の増大など負担は大きくなるだろうが、それでも、早急に加入が認められることを願っている。
2カ月ほど前だったろうか。初めて加盟への動きが伝えられた時(実際は8年前のクリミア侵攻時から検討されていたようだが)、私は「なぜこれまで加入しなかったのか」と不思議に思った。負担すべき軍事費の問題か、それとも軍事力そのものの問題かなどと考えていたのだが、どうもそうではないらしい。
そもそもフィンランドには第二次世界大戦時にナチスドイツから非人道的な攻撃を受けたうえにロシアからも攻撃されて多額の戦時賠償金を支払うことになったという歴史がある。そんな悲惨で過酷な歴史を二度と経験しないために選んだのが「フィンランド化」と言われている中立化だった。つまり、ドイツとロシア両国による侵略を避けようとしたわけだ。
動機は様々だが、ウクライナ、モルドバ、ジョージア、バルト三国、ポーランド、ハンガリー……。特に、東欧の国々は独立した年や国名だけでは語り尽くせない歴史を背負っている。いわば“取ったり取られたり”の歴史が1000年以上続いているのだ。
私は今、そんな歴史の本質を知らない限り、現在のウクライナ侵略もNATOもEUも(もちろんロシアがウクライナに執着する理由も)理解できないのではないかと考え始めている。
紀元前のローマ帝国による侵攻でフランス(ガリア)がどうなったかというところまで遡るのは骨が折れそうだが、近世からの戦史の概略くらいは知っておいたほうがいいのかもしれない。それも世界史の授業では取り上げない地政学的な視点からの歴史である。
ジューイッシュやロマ(ジプシー)などの人種差別問題も重ね合わせていくと、途方もないことになりそうだがウワベだけでも知っておいたほうがよさそうだ。
それにしてもヨーロッパの歴史は入り組みすぎていて難し過ぎる。日本のような“やった、やられた”では済まない複雑さである。
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[season12/0512/24:50]
『立夏』‥風薫り、夏の気配を感じ始める頃。菖蒲の節句。そら豆
photograph:ueno park, taito city
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