∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 沖縄返還50周年 ≡≡

改めて沖縄問題と向き合う時

 太平洋戦争後27年間アメリカに占領・統治されてきた沖縄は1972年5月15日に日本に返還された。それから50年が経った現在、沖縄は日本の一部として機能している。

 だが、現実はどうだろう。

 いまだに県内には31の基地があり、本島だけでも15%の面積が米軍によって専有されている。そして、そのすべてが施政権も警察権も裁判権も及ばない治外法権である。つまり、沖縄県の15%はいまだに日本に返還されていないのだ。

 政府は“嘉手納以南の返還を目指す”と言っているが、その政策の中で焦点化しているのが普天間基地の嘉手納北部キャンプ・シュワブ内の辺野古移転である。つまり“嘉手納以南”を実現させるための“辺野古移転”である。
 返還という言葉をどう解釈するかという問題は残るが、辺野古については単なる移転と捉えても差し支えない。基地の返還が真の意味での沖縄の日本返還だとしたらこの移転に疑問符が付くのは当然だろう。

 基地問題に焦点が集まりがちだが、警察権や裁判権については“返還”に向けての交渉が行われている気配がない。基地内は治外法権だから当然という杓子定規な考え方では済まない問題がここにあるというのにだ。
 返還直後やベトナム戦争当時と比べれば落ち着いてきているという弁明では済まない事件や事故も数多い。また、コロナ禍がピークを迎えていた昨年には、日本の検疫体制を無視して、米軍関係者がPCR検査も何もなしでアメリカ本土と行き来しているという事実も発覚した。

 日本が目指してきた“沖縄返還”は今のようなカタチではないはずだ。いまだに“本土並み”という言葉が使われているが、50年経っても“並み”にはなっていない。インフラ整備や生活基盤は充実してきたが、産業振興による県民の収入増という問題もカタチだけで終わっている。

 戦後77年。主権回復後70年。沖縄返還後50年。沖縄は安全保障上のキーストーンだからとか、遠く離れているからとか、ずっとそうだからといった意見や感覚を改めて、真の意味で沖縄問題と向き合う時が来ている。
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[season12/0515/25:10]
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photograph:ueno park, taito city
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