∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 『芒種』の時季 ≡≡

梅雨空の下
紫陽花や花菖蒲が咲き誇る時季

 二十四節気の『芒種』に入った。今では季節感が曖昧な節気と受け取られることが多くなってしまったが、古くは「芒(のぎ)」と呼ばれるトゲのある籾を持つ穀類、つまり稲の種を地植えで蒔くのに適した時季ということだったわけだ。江戸時代の暦便覧では「芒ある穀類、稼種する時なり」と記されている。

 今日、関東甲信越地方は梅雨入りした。芒種らしいといえば芒種らしいスタートだ。本降りの雨と季節外れの肌寒い気温には戸惑ったが、これから1カ月半ほどの付き合いを予言するような“雨の洗礼”だったのかもしれない。
 とはいっても、紫陽花や花菖蒲は今を盛りと咲き誇っている。うっとうしい気分を花で和らげられればいいのだが。ちなみに、英語で紫陽花はHydrangeaと言う。「Hydro:水」と「angea:器(ラテン語)」が組み合わさった単語と言われている。どうも洋の東西を問わず紫陽花は“水”と繋がりが深いようだ。

 ところで今日、6月6日は「稽古始」でもある。室町時代に能を大成させた世阿弥が著した『風姿花伝花伝書)』のなかに記されている「芸能の初稽古は7歳(数え)から」という教えを今に伝える歌舞伎や能の世界で、満6歳の6月6日を稽古始めとしていることから広まった伝統だ。

「田植え」と「稽古始め」。一見すると何の関係もなさそうだが、どちらも“実りの時を目指して歩み始める節目”といえるもの。いわば、芒種は実りある将来に向かってスタートを切る時季と言っても差し支えない。

 さて、梅雨空の下でどんなスタートが切れるか。芒種の時季の楽しみが見つかったようだ。
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[season12/0606/24:40]
芒種』‥古くは田植えが始まる頃。梅雨空の下で紫陽花や花菖蒲が咲く
初候‥螳螂生(かまきりしょうず):かまきりが生まれる頃
photograph:hydrangea, kasuga, bunkyo city
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