大きな成果を得ようとする時には
それに伴う痛みも覚悟せよ
スウェーデンとフィンランドのNATO加盟はトルコの懸念表明で危ぶまれていた。両国がトルコに課している武器禁輸と、クルド人武装勢力への姿勢をトルコが問題視したためだったが、スウェーデンとフィンランドがトルコの主張を全面的に受け入れることでようやく事態が動き始めた。
アメリカが仲介したとか、NATO各国の支持など政治の世界らしい観測が流れているが、何があったにせよ世界中が“トルコのエルドアン大統領の政治力にしてやられた”と感じているはずだ。
それに対して、スウェーデンとフィンランドの政治的な決断には高い評価が与えられるはずだ。
だが、ここは国際政治の世界である。おそらく、エルドアン大統領が懸念を表明した時点から各国首脳はこうなることを見通していたのではないだろうか。
「No pain, No gain」
「皮を切らせて肉を切る」
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
「何かを得たければ何かを捨てよ」
どの箴言も「大きな成果を得ようとする時にはそれに伴う痛みも覚悟せよ」という教えである。
今回のNATO加盟に関して200年続けてきた中立国政策を変更したスウェーデン。ナチスとソビエトに国土を踏み荒らされてきたフィンランド。両国にとってNATO加盟は重大な決断だったはずだ。そんな両国にとってトルコが表明した懸念は“覚悟すべき痛み”として飲み込まざるを得ないものだったのではと推察する。
何はともあれ、これで事態は急激に動き始め、ウクライナやモルドバのEU加盟にも弾みがつく。事実上の世界的な冷戦構造にも影響を及ぼすことは確実だ。
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[season12/0629/24:10]
『夏至』‥一年で一番昼が長い時季。太陽のエネルギーが満ちる頃
photograph:SOUJI-JI/tsurumi, yokohama city
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