∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 脱フロッピーディスク ≡≡

ここが出発点とは何と時代遅れな!
デジタル改革は
仕事体質の見直しと
思考回路の変革から

 デジタル庁が「行政手続き時に使用媒体を指定する法令について、撤廃する」という方針を打ち出した。これが日本のデジタル化の第一歩なのかと愕然としてしまう方針である。

 例の「山口県阿武町4630万円誤入金」事件が発覚後、事件の背景になっていた旧態依然とした行政の電子手続きが、ようやく“現代的”なものに変わろうとしている。
 総理は内閣改造後、河野デジタル大臣に「デジタル改革はスピード最優先で行い、現状見つかっているアナログ規制以外も見つかり次第早急に洗い出し、改革を断行してほしい」と指示していた。それに対して、河野大臣は「デジタル原則への適合を強力に進めたい」と発言している。
 二人の発言は、これまで行政の情報システムを請け負ってきたシステムインテグレーターSier:エスアイアー)が胸の内に仕舞い込んできた問題点を国のトップが公けにしただけのことだが、それでもアナログ一辺倒の日本の行政にとっては大きな一歩である。

 これまで日本の行政は電子化はすでに進んでいると錯覚していたが、これでやっと「デジタル化の本筋とはなんぞや」というスタート地点に立てることだろう。
 ひょっとすると手続方法やハードウェアの見直しだけではなく、デジタル思考そのものに気がつくかもしれない。

──書類は目に見えるものであること。複数の行政機関と共有できる内容であっても情報の連携などもってのほか。提出は出頭することが望ましく、必ず押印を必要とする──。

 行政の“しばり”ほど時代遅れなものはない。それを容認している政治に至っては時代遅れという言葉さえ憚られるのが日本の現状である。

 そんな国だから、市民生活に密着したところでも合理性を欠く問題が発生するのだ。おそらくマイナカードについては、その利用方法やスマートフォンとの連携について国民から失笑を買う事態が次々と発生するはずと私は想像している。

 クラウドが当たり前になった今、少なくとも行政への提出書類に関してだけは「縦割り」から「横串」になってくれるよう期待している。民間企業がすでに次世代に向けて取り組んできたことである。国だって出来ないわけがない。

 フロッピー問題から切り崩していかないと始まらないという情けない状態だが、それでも、デジタル改革が古典的な仕事体質を一掃するくらいに広がってくれることを切に願っている。
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[season12/0830/25:20]
処暑』‥酷暑が峠を越す頃。二百十日。台風シーズン到来。
photograph:matsuchiyama-shoden, taito city
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