【一番地味な節句の日】
一月七日「人日の節句・七草」、三月三日「上巳の節句・雛祭り」、五月「端午の節句」、七月七日「七夕の節句」、九月九日「重陽の節句・菊の節句」──一月以外は月と日の数字が重なる日を節句と言い、そのなかでも重要なものを五節句とする。
日本では古来からこう言い表されて、それぞれに重要な年中行事が意味づけられ、七草粥に始まり、雛祭りや五月人形、七夕飾りなどが伝えられてきました。
ところが九月九日の重陽の節句は、厄払いや健康長寿を願う日と言われてはいても、行事といえばせいぜい菊人形展くらい。ほかにこれといった行事はありません。圧倒的にお月見の十五夜のほうが生活に根付いています。
ほかの四節句が「明確な楽しみや娯楽」と結びついているのと比べると、重陽の節句には菊を愛でながら長寿を願うという「曖昧な儀式的な行事」しかありません。
現代的に言えば、重陽の節句は「ジミで華やかさに欠け、エンターテイメント性が乏しい」わけです。
これを人間に置き換えてみると、高い地位にあるけれど目立たなくて評価が低い人ということになるのかもしれません。
居ますよね、こんな人。傍から見ていると、もう少し自分自身のプロモーションを考え、性格改造を試みればきっと人生が変わってくるはずなのにと思われている人のことです。
宿命と言えば宿命。努力不足と言えば努力不足。何かのきっかけでガラッと評価が変わるかもしれないのに、惜しいという言葉しか思い浮かびません。
となると。重陽の節句自体にイベント性を与える策を考えれば、ひいては「オシイ人」の評価アップにもつながるかもしれません。……まあ、いつの日にかですが。
[2870]