∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

「あの日から23年」──そして永遠にあと1日

【大災害をいつまでも忘れずに】

 1月17日。あの日がやってきました。まだ夜も明けない頃、淡路島と神戸の間の瀬戸内海で起こった地震阪神間全域と淡路島を襲い、大都市を襲う自然災害の恐ろしさを思い知らされることになりました。特に神戸は想像を絶するような被害を蒙りました。我が母がその状況の中で「空襲のときより酷い」と嘆いていたのを覚えています。
 そんな地震から23年経ち、神戸はすっかり新しい街に生まれ変わりました。大火災で何もかもが失われ、歩いていると方向感覚まで失ってしまいそうになった場所にも新しい住宅やビルが立ち並んでいます。人々の顔にも穏やかな笑顔が戻っています。
 僕が知っている神戸は失われてしまいましたが、地震の被害をバネにして戦った人々のおかげで神戸は新しい顔を見せられるところまで復活しています。

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 大都市に壊滅的な被害を与えた阪神淡路大震災をきっかけにして、防災意識はある程度高まりました。その後、極めて広範囲に想定外の被害を与えた東日本大震災で防災に対する考え方が一変し、同時に減災という新しい考え方が生まれました。
 人は危機に瀕して、これまでの繁栄が失われた時、はじめて新たな対策を取り始めるものです。この法則を応用すれば「大きな変化が起こった次の瞬間」こそ新たな舞台が誕生する時なのではと考えています。

 「喉元過ぎれば……」の喩え通り、人は眼前の恐怖が過ぎ去ってしまうと当時の緊張感を忘れがちです。同時にせっかく作り上げた防災や減災の基本も片隅に追いやられてしまいます。そうやって災害時の対応が疎かになってしまうのも定石です。

 防災や減災の基本は明日起こるかもしれない危機に備えることです。人が生き抜くために必要な方策を探し求めるためには、常に危機感を持ち続けて明日に備える姿勢が必要なのではないでしょうか。

 あえて言わせていただければ、どんな時でも過去の災害を忘れずに「周年記念日まで、永遠にあと1日」と思い続ければ危機感を持ち続けることが出来るのではないでしょうか。

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 多くの人の死を無駄にすることなく、大災害に負けることなく立ち向かえる日が来ることを信じています。

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 地震で亡くなられた6千数百人の方々。環境の変化に耐えられずなくなった方々。すべての皆さんに鎮魂の祈りを捧げます。
 そして、新しい神戸を作り上げ、支えていらっしゃる皆さんに心からの声援をお送りします。

 神戸よ、永遠に。

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