【思い出したのは20年近く前の異常事態】
今日、高知県で桜の満開宣言が出たというニュースを耳にしました。つい先日開花宣言が出たところなのに早くも満開。このままいけば東京の満開宣言も早まるのではないでしょうか。
今年の桜予想を見ていて約20年前の上野恩賜公園での異常事態を思い出しました。当時僕は自宅から上野公園内を通って通勤していました。
ある時期の数年間、冬になると公園整備の一環で公園内がほぼ掘り返されたいた時がありました。例年、桜の移植を伴う工事は樹々が冬眠状態の冬しか作業をしないという原則に沿ったもので、花見の季節直前に終わるはずと思っていたのですが……。
その年の三月初旬、桜の開花が早まりそうだという予想が出ました。そして、次の日。工事現場、つまり公園の噴水や動物園の入口付近を中心にいたほとんどの場所に投光機が持ち込まれました。
帰宅しようと上野駅から公園に入ると、街灯がポツリポツリとあるだけの暗い公園内が、これ以上ないほど明るく照らし出されたのです。深夜に近い時間帯だというのに、まるで繁華街のど真ん中状態に大変身したわけです。作業も大急ぎらしく、明るく照らし出された公園内をクレーン車やトラックが動き回り、クレーンの動きを指示する呼子の音が響き渡っていました。
樹木の移植を伴う冬場の公園整備は朝8時から夕方4時頃が通常なのに、この時だけは24時間態勢に変更してしまったわけです。
国立西洋美術館の庭園に設置されているロダンの『考える人』も、国立科学博物館の『恐竜』も、東京国立博物館法隆寺館に収蔵されている『数十体の観音像』も、恩賜上野動物園の人気者だった『先代のパンダ』も、皆さん揃ってビックリされたのではないでしょうか。
ちなみに、この時は、樹木がなく歩くのに邪魔にならない場所以外は完成しました。残った箇所は花見シーズンが終わってから昼間の工事で終わらせたようです。
おそらく、関係者が花見が始まる前に終わらせようと考えた結果なんでしょう。結果的に24時間明るい上野公園を見ることが出来た僕は物珍しさでキョロキョロしながら帰宅していたのを記憶しています。
今年もあの時のようにアタフタと作業をしている所があるのかも。もし、そんな事態に追い込まれている現場があれば「ごくろうさまです」というしかありません。声を掛けると、こんなはずではという思いで苦笑いされるでしょうが。
季節の移り変わりが早過ぎるのも良し悪し。特に桜の開花が基準になっている春の訪れは穏やかなのがいいのかもしれません。
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