【ありがちな言葉】
ビジネスシーンで、よく聞くけれどほとんど実現しない言葉に「近いうちにメシでも食いましょう」という言葉があります。いわゆる社交辞令というか、友好のしるしというか。とにかく定番ビジネスワードのひとつといってもいいでしょう。
その“近いうちに”というのがとうとう国政の場に登場しました。それも解散総選挙という一大事を予告する言葉として。
三党合意の中、ようやく成立した社会保障と税の一体改革法案の参議院通過を巡って丁々発止の駆け引きが繰り広げられてきた結果の言葉です。いわゆる消費税増税法案を通すためならなんでも聞きますともとれる野田首相の言動も原因のひとつでしょう。しかし、なにがなんでも今総選挙をしないことには第三局の影響が強くなると考えているであろう自民党のゴリ押しという性格が強いと思っていますが、それにしても、ここでこの言葉が出てくるなんて。
この言葉、ビジネスシーンの飲み会言葉とは違うとは思うのですが、なにしろ、民主党には退陣するといいながら二か月ほど居座った元首相もいます。その影響で「そう言っておけばいいんじゃない」などとお考えではないでしょうな、と釘を刺しておきたいものです。
で、「近いうちに国民に信を問う」のは政治の流れの中で出てきた究極の選択だとしても、解散する前にここまで審議すらされていない多くの法案の行く末はどうなってしまうのでしょう。よもや、廃案なんてことはないはず、と思いたいのですが……、どうも「信じると裏切られる」国政に慣れてしまったのか、どんな判断が行われても素直に信じられないのです。ひょっとすると、もうひと山越えないといけないのかと勝手に想像してしまうわけです。
なにしろ、国民のためより自分たちのためという政争上手な方ばかりですからね。
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