∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

アッ、忘れてた

【ヴァレンタインデー】

 昨日、毎月恒例になっている友人夫婦との定例会がありました。あの認知症の友人とその奥様です。
 待ち合わせたレストランにはいつも通り先方が先に来ていましたが、僕が席に近づくと友人が立ち上がって何やら紙袋を渡そうとしていました。彼は奥様に言われないかぎり自分からは人との繋がりを持てなくなっている人間。その彼が僕に何かを手渡そうとしていたわけです。
 何かなと思っていたら「ヴァレンタインデーのチョコ、あげます」と。横から奥様が「例年通りに持ってきてあげたわよ」とニコニコと話してくれました。

 とそこで気がついたのですが、僕は土曜日がヴァレンタインデーだったことをすっかり忘れていました。たとえ義理でも戴くことはないと確信し、その存在さえ無視していたわけです。
 友人夫婦からの義理チョコとはいえ、戴けるとやはり嬉しいもの。さっそく袋から出してみたところベルギー生まれの生チョコのよう。オレンジフレーバーがアクセントになっているようでした。
 さすがにその場では食べませんでしたが、帰宅後ちょっとつまみ食い。濃厚なカカオの風味とオレンジフレーバーの組み合わせが“いい味”を出していました。
 しかしそれよりも、彼らの気遣いのほうが嬉しくて。食べている間に、どこにも売っていない世界でただひとつの最高の味わいのチョコを戴いたと感じるようになりました。ありがとう。今年僕が戴いたたったひとつのチョコだけど、これひとつで心の中は感激で満たされたように感じています。

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