【ベストコンディションの顔写真を撮るために】
まだ松の内だった頃、僕はマイナンバーカードを申請しました。顔写真は900円で写真が２枚。３回のシャッターチャンスのうち、どれかを選ぶという証明写真機を使いました。こんな時でないとしない、上半身だけタイ＆ジャケットという簡略スタイルです。出来上がりは「まあ、こんなものでしょ」といったところ。なにしろ土台が土台ですからね。
写真なんて簡単じゃないかと考えていた僕ですが、ある女性と会話していて、そういうものでもないということに思い知らされました。
実は今日は、毎月一回定例会を開いている友人夫婦との今年最初の集まりでした。会場は、新年会ということで、昔からのお気に入りの『渋谷・麗郷』。台湾料理の老舗です。
それはともかくとして。そのなかで奥様が「前髪を切りすぎたので、もう少しスタイルが落ち着いてから写真を撮ることにした。申請はそれから」と。正直なところ、いつもと変わらないスタイルだと感じていた僕は、改めて彼女の前髪を見つめてしまいました。どう見てもおかしくない長さだし、違和感はないと思ったのですが、そういうものではないようです。
いつも友人の介護で忙しくしている彼女も、写真を撮るとなると意識が変わるようです。介護の合間になんてことは考えていないようです。ちなみに僕の友人については「いつも同じだから、前髪が落ち着くまで待たせておく」とのこと。
「なるほど、女性は証明写真ひとつでもここまで気を使うのか」という思いと「ここでも男は添え物か」という思いが頭の中で交差してしまいました。ちなみに、僕の友人は話の内容がよく理解できないのか、腸詰を食べながら、黙って聞いていました。きっと右から左へ聞き流していたのだと思います。
友人夫婦のマイナンバーカード申請にはまだ時間がかかりそうですが、同様に全国でこんな状況が起こっているのではないでしょうか。申請に行く前に、まず美容院へ行かないと。できれば服も買おう。メイクアップにも気を使わないといけないし、子供を預けることだって考えなきゃ。ありきたりの顔つきで生きてきた僕は「男でよかった」と思うことしきりです。
［1903］
