∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

〓〓 苔むした小さな祠 〓〓

祈るわけではなく
心を落ち着かせるだけ

 豊川稲荷東京別院は、八代将軍徳川吉宗の治世に町奉行として活躍し、町火消を創設した大岡越前守忠相の上屋敷跡に建立された。
 一歩境内に入ると、都心中の都心とは思えない静けさが一帯を支配し、ざわついた心を落ち着かせてくれる。
 曹洞宗の寺を守るために所狭しと設けられた祠や何百といる狐の守り神に包まれていると、得も言えぬ霊気を感じ取るという人も多い。

 そんな豊川稲荷の境内に高さ数10cmの小さな小さな祠が設けられている。なぜか屋根部分だけが苔むしているその姿には、多くの人たちから祈りを捧げられてきた “念の積み重ね” さえ感じてしまう。

 私はこの祠の前で座り込んで時を過ごすことがある。

 祈るわけではない。ただ単に心を落ち着かせるためだけに行くのだ。特に、降る雨が苔を育ててくれる梅雨時がいい。文字通り「苔が作り出した緑の絨毯」が心を落ち着かせてくれるのだ。

 東京が梅雨入りを迎えて2~3週間経った頃、フラッと出掛けてみよう。ひょっとするとザラツイた心を平らかにしてくれるかもしれないという淡い期待が叶えばいいのだが。

≡≡[season14]24:30/Jun.10.2024 芒種次候≡
┃PRAY to MOSS┃
-Shrine surrounded by Moss-
Toyokawa-inari Akasaka, Minato City.
Photographed on Jul.03.2023