∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

〓〓 入梅と水無月 〓〓

「梅雨なのに水がない」なんて言わないで

 6月の和名は水無月。字義通りなら水のない月、つまり降水量が減る7月や8月のことを指しているように思えるが、実は「水あり月」を示す言葉だということはほとんどの人が知っていることである。
 古典を知る人なら、そもそも水無月の “無” は “の” を表す言葉だから「水無月」は「水の月」。つまり梅雨時分の6月だと言うだろう。
 話は逸れるが、旧暦と新暦のズレを気にする人なら、そもそも旧暦の六月と新暦の7月を両立させようとすること自体間違っているというかも知れない。

 今も昔も梅雨時は梅雨時。自然が作り出すリズムは人間が作った暦とは一線を画している。梅雨を基準点にすると、旧暦の六月は紛うことなき真夏である。つまり、梅雨は1カ月遡った五月の気候というわけだ。「五月晴れ」が梅雨の晴れ間を指す言葉とされていることを思い出してもらえば理屈は合っている。

 旧暦から新暦に乗り換えた明治の人たちは政府のお達しというだけで、月だけをずらして終わらせてしまったんだろう。ややこしくてたまらないではないか。ズレをそのままにして、季節感は別物と捉えるというような器用なことを実践してしまうから水無月の存在自体が迷走しまったではないか。

 とはいえ、鷹揚と言えば鷹揚、器用と言えば起用。この曖昧さや融通を効かせる精神が日本文化の奥底に眠っているような気がしてならないので文句はないのだが。

 今月下旬になれば東京も入梅する。ようやく月名と二十四節季のズレが解消されて「水の月=水無月」の出番が来る。

≡≡[season14]24:50/Jun.11.2024 芒種次候≡
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Toyokawa-inari Akasaka, Minato City.
Photographed on Jul. 03.2023