∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ブランド志向

◇今日、ある喫茶店で近くの席から「高級ブランドのショッピング・バッグを持っているのは中国からの観光客、ファストブランドを持っているのは日本人」というような声が聞こえてきた。その声の裏には「中国人はお金持ちだから」というニュアンスが漂っていた。
そう言われればそう見えなくもない。日本人だってたくさんの人が持って歩いていると思うのだが、やはり、観光客は目立つのだろうか。それとも、本当にそうなのだろうか。
◇約20年前の日本。バブルと言われた時代背景のなかで、世界の一流ブランドの服、バッグ、靴、アクセサリー、ジュエリーなどを持っていないとサマにならない時代があった。「ブランド買い」という目的で海外へ出かけた人も非常に多かった。もちろん泊まるホテルも一流。ホテル界のブランドものである。
ちなみに、当時の僕はそんなブランドの応援団真っ只中にいた。今でも完成度が高く、存在感が強い一部ブランドには強烈に魅力を感じ、素直に素晴らしいと思っている。
ところで約50年ほど前、日本人が海外へ自由に行けるようになった頃、お土産に高級ウイスキーを買って帰るのが通例だった。今の中国からの観光客は炊飯器が通例になっている。
◇中国人は日本人の数十年前の姿を追いかけているようだ。少なくとも、国力が爆発的に増大し経済的に豊かになった頃、誰でもこのような行動を取るのかもしれない。
それと同時に、当時のアメリカやヨーロッパ各国のような成熟した社会では、他人に見せびらかすために持つのではなく、本当に必要としている人たちが快適に着こなしを楽しむためにブランドを利用するようになる。それが真のブランド・パワーなのではと僕は思っている。
◇だから、今の日本人がファストブランドに魅力を感じるのは、それだけ一流ブランドが浸透して「見せびらかす」ファッションより、無理せずに気持ちよくトレンドを取り入れることができるものにシフトしただけだと思っている。
日本人のファッション感が、ここぞという場面では一流ブランドのファッションに身を包むが、デイリー・ファッションはファスト・ブランドで心地良くというファッションの二層構造になり、柔軟な着こなし術が身についたと言ってもいい。つまり、賢くなったのだ。経済的に買えなくなったと単純に言い切ることなんて決して出来ない。
あと20年もすれば中国人だって同じようなファッション傾向になるのではないだろうか。
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