∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

東大寺お水取り

◇3月1日。奈良・東大寺二月堂で修二絵(しゅにえ)が始まる。仏教の行事としては非常に重要なものだということだが、一般的には「お水取り」と言ったほうが通りがいいものだ。
宗教行事としては「二月堂の本尊十一面観音に、練行衆と呼ばれる精進潔斎した行者が自らの過去の罪障を懺悔し、その功徳により興隆仏法、天下泰安、万民豊楽、五穀豊穣などを祈る法要行事」というよう難しい行事らしいが、一般的に有名なのは二月堂の舞台で練行衆が松明を振り回す「上堂の松明」である。
◇二月堂の廊下を練行衆が松明の火の粉を振り落とし、下で待つ檀家や観光客がその火の粉を浴びたり、燃えカスを持ち帰ったりするもので、健康になったり幸せになったりすると伝承されてきた。
この修業は3月1日から14日まで続くものだが、特に12日の松明は一回り大きな「籠松明」が燃やされ、火の粉も一段と多く、真っ暗な夜空をバックに火と火の粉が織り成す劇的な時間が生まれる。
◇僕にとって「お水取り」は春を告げる行事。どんなに寒くてもこの行事が始まるともうすぐ春が来る、という意識に変わる。特に12日の籠松明が報道されると、気分はすっかり春なのだ。
この行事を皮切りに、不忍池の渡り鳥の北帰行、高校野球の開幕と決勝戦、桜、入学式というように春が深まっていく。同時に気持ちもウキウキしてくるし、服装も少し軽くなる。
◇さあ、もうすぐ春。この春は「きっと生活自体にも春が来るぞ」と信じながら、知らず知らずのうちに近づいてきている春を感じ取ろう。
[114/1000]