【靴磨き】
20代の頃から月に一度程度、自分の靴は自分で磨いています。なかには革製の靴底を張り替えたこともありました。
まず、ホコリを取り、保革クリームを摺り込んだ後、しっかりとブラッシュアップ。次に靴の色に合わせたクリームをごく薄く延ばし、使い込んだTシャツを切り、できるだけ高速で磨き上げる。つまり摩擦で熱を発生させてクリームが革に浸透しやすくし、ロウ分が薄い膜を作るようにするわけです。この方法だと何足か磨き上げると腕はすっかりだるくなっていますが、それでも、この方法が一番靴のコンディションを高めてくれると信じています。
特に茶系の靴の場合、オリジナルの色から少しずつ色を濃くしていき、自分だけの茶色を作ることも楽しみのひとつになります。
こうやって靴を磨いていると、僕の場合、靴がモノに見えなくなり、かけがえのない相棒になっていくのです。特に長年一緒に過ごし使い込んだ靴には、自分の足跡、つまり人生が凝縮されているように感じてくるのです。
【キーボードと靴】
指を使って僕の考えを文章にしてくれるキーボード。一緒に人生を歩んでいる靴。どちらも僕の体温を感じながら一緒に僕だけも時間を過ごしてくれる大切な相棒です。
だから、おいそれと捨てられない。もし、完全に壊れてしまったら「これまでありがとう」と感謝の気持ちを捧げつつ「諸行無常」の精神でそっと捨てます。
おそらく、今回のキーボードもそうなるでしょう……。あと何年か経てば。それまでは最良の相棒です。
【使い捨て】
今の時代、なんと使い捨てにするものが多いことか。僕も捨てるべきものはどんどん捨てますが、僕の人生を一緒に過ごしてくれる道具をおいそれと捨てるのには抵抗があるのです。
昔は「ものを大切にすることが当たり前でした。それが、次々と消費して、使わないものは捨てていくことが素晴らしいという考え方が一般的になって以来、考え方は一変しました。
もう少し、何回かに分けて「愛着」「相棒」「手入れ」「廃棄」「流行」そして「人生を共に積み重ねるモノ」といったことについて考え、文章にまとめたいと思っています。
ぜひ、お付き合いのほどを。
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