∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

使い捨てライター

【ステイタス・ライター】


 キーン、シュポッ、チーン。高級なライターになると、炎の着き方や純度が高そうな炎色が心地よくて、それだけでいつものタバコが美味しく感じられるようになるものです。しかも、高いステイタスも感じます。
 それは分かっているのですが、どうしても使えません。僕には高価過ぎるという切実な理由もありますが、それ以上に、どこかに忘れて来るのが簡単に想像出来てしまうのです。
 情けないことに、使い切るまで使ったこともあまりありません。ライターは僕にとっては鬼門のようなもの。必ずどこかに忘れてきます。


【忘れても】


 で、結局、どこかに忘れてきてもいいようにコンビニやタバコ屋さんで、いわゆる100円ライターで済ましてしまうようになってしまいました。そして、これから先もそうだと思っています。
 となると、愛着なんて湧いてきません。タバコのそばにあればいいのです。


【寂しい小物】


 僕にとってのライターのように、忘れてくるとか、壊してしまうとかいう理由で、ひとそれぞれに、消耗品というよりも単なる使い捨てアイテムってあると思います。
 製造業者の思惑は別にして、モノとして世の中に流通した限り、長く大切に使ってもらいたいもののはずなのに、すぐに忘れ去られてしまうって、考えようによっては「寂しい小物」といってもいいかもしれません。
 でも、この図式を人間に当てはめてみると……。ちょっと冷徹な世界が見えてきます。つまり、同じ人間なのに、すぐ忘れ去られたり、除け者にされたり。人としての敬意を払われることも少なくなり、居ても居なくてもよい人間と思われる。決して自分から「使い捨て」にしてほしいと望んでいるわけではないのに、現実は……。使い捨てライターの運命と似ています。
 こんな人間にはなりたくないものですが、残念ながら、個性でそうなるだけでなく、他人がどれだけ愛着をもって接してくれるかどうかが最大の問題かもしれません。
 

 どこかに忘れられる運命にある小物たち。存在感の薄い人。確かに僕も存在感の薄い人たちに目を向けることなく人生を過ごしてきました。そして、その考え方を改めようとは思っていません。


 といいながら、明日ももう少し、愛着や相棒のことを考えてみます。


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