∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

半年ぶりのソールエリア

御徒町から末広町秋葉原


 約半年ぶりに御徒町から秋葉原へふらりふらりと自転車を走らせました。貴金属やジェムの卸商、自転車専門店、ショップ数も増えてようやく賑わいはじめたAKIOKA、アーケードゲームの基盤専門店、中古ゲーム店、コスプレ、フィギュア、アニメ、コンピュータ、鉄道模型、アイデア商品……。日曜日休日の貴金属卸商以外は、以前同様。どの店も活気づいています。
 大きなリュックをかついでわき目も振らずに目的のお店に向かう“オタク”たちも相変わらずです。白い髪の毛に赤、青、緑などのスプレーを注したコスプレヤーや、大声で呼び込みを繰り返すメイドカフェのスタッフたち。PC専門店のショッピングバッグを抱えた神経質そうなオヤジたち。AKB劇場に来たらしいファンらしき軍団。そんな原住民たちを見物に来た観光客。一種独特な雰囲気を持った人たちが勢揃いという、いつもながらの風景が繰り広げられています。
 御徒町から秋葉原までのエリアは、PCパーツを探しに行ったり仕事場であったりと僕にとっては欠かせない「ソールエリア」。そんな街に半年も行かずによく我慢できたな、などと思いながらの散歩になりました。日曜日の午後とあって恒例のホコテンも健在。オタクたちのように目的の店が決まっていない観光客の人たちは6車線の車道いっぱいに歩いています。寒い日曜日なのに、ここだけは早春気分。もちろん中国からの観光客も。おそらく炊飯器などのお土産は観光バスの中に置いてきたのでしょう。みなさん手ぶらでキョロキョロしながら歩いています。
 
 
【素直な人々】


 この半年、ほかの街をベースに動くことが多くなって、逆にこの街の原住民とほかの街の人々を比べることができるようになりました。
 それで気がついたのが「オタクって素直な人種だな」という事実。確かに話しかけても無視されることは当然だし、前から人が来ても目的地まで直線で歩かないと気が済まず、避けることを知らない人だってたくさんいます。こんなに寒いのにショートパンツにダウンジャケット、大型リュックに首巻タオルというフィギュアファン、アニソンファン、AKBファンだって堂々と歩いています。もちろんほかの街なら周囲数メートル以内に人は寄ってこないだろうと思えるようなコスプレファンも。電車に乗っている間も偏見に満ちた視線を感じていたのではと思えるような人たちばかりです。
 でも、みんな自分が信じるものや没頭しているものに対して全力で集中している人たちばかり。ほかの町で出会うような、斜に構えた付き合いや、たわいもない競争心の塊のような人はひとりもいません。人を騙してでも稼いでやると意気込んでいる勘違いニイサンもいません。
 なかには精神的なダメージを持った人もいるでしょうが、そんな人たちだってこの街なら受け入れてもらえます。周囲が彼ら独特の流儀に逆らわなければいいのですから。
 自己表現の方法に難はあるけれど、ひょっとするとこの街の原住民って現代では珍しくなった「人間らしさ」を持った人たちなのかな、などと久々の秋葉原散策の間、感じ続けてしまいました。
 御徒町から秋葉原へ。JRでも銀座線でもたったひと駅なのにこんなに印象が変わる街も少ないと以前から感じていましたが、今日のように秋葉原が「人間らしい人間」が集まる街だと気がついたのははじめて。やはり、定点観測の必要がある街のようです。
 
 
[479/1000]