【海の日】
以前働いていた出版社では7月20日が創立記念日でお休みでした。ただ僕のいた部署では大きなプロジェクトの準備を一気にやり終えようということで朝からポロシャツとショートパンツでワサワサと動き回る日として位置づけられていました。いわばその年の後半を乗り切るための年中行事のような存在です。
部署全員でひとつのプロジェクトの準備をする楽しさや充実感には何物にも代えがたいものがありました。外部からの電話などもないし、社内は静かだし、なんだか会社を一人占めしたような気分にもなれる日だったと記憶しています。
ところが、ある時、その7月20日が『海の日』に制定されました。そこで気づいたのが仕事のスケジュール自体に変わりはないものの、創立記念日に仕事をするのと国民の休日に仕事をするのとでは少し気分が違うということ。どうも「自由度」が違うような気分になったものです。
しかも、数年経つとその日が「移動休日」に指定され、20日直前の月曜日が休日ということになり、スケジュール的にも毎年変わることになると同時に年中行事というよりも「仕事のための休日出勤」という意味合いが強くなり、結局、プロジェクトの準備は平日の仕事のなかで地道にこなすことに。
プライベート重視のスタッフが増える中、せっかくの休日を仕事のために費やすこともないだろうという風潮が強くなったのも事実です。
「時代が変わった」とひと言で言ってしまうのは簡単ですが、それでもどこか違う。部署の雰囲気がジワジワと変化していったのもその時期だったと思います。
今日、7月16日は2012年の『海の日』。そんな大昔のことをふと思い出し、思わず懐かしさに浸ってしまうことに。懐かしさに浸っている場合ではないと今日の予定を改めてチェックしてしまいました。
ということで、今日も一日が佳き日であるように願いながら、行ってきます。
[627/1000]