∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

日本人の好きな言葉

【がんばる】


 昨年の大震災直後から『がんばろう日本』という標語が街にあふれるようになりました。日本全体が未曾有の災害に立ち向かおうとし始めた頃に生まれた標語です。
 すでに頑張っている人に対して、これ以上頑張れと言うのかというもっともな声もありましたが、いまではすっかり定着、挫けそうになった時に励みになる言葉となったということにしておきましょう。


 そして今『がんばれ日本』という標語が目立ち始めています。あと二週間ほどに迫ったロンドン・オリンピックに参加する選手や関係者を応援するための言葉です。
 以前からオリンピック開催時になると浮上してきた言葉だけに、最初に目にした時は「今回も出てきたな」と思わず笑ってしまいそうになりました。
 厳しい選考を勝ち抜けてようやく勝ち取ったオリンピック出場なだけに、当然のように好結果を期待されるのは判ります。
 しかし、この言葉が投げかけられるのはすでに誰よりも頑張っている選手たちです。単純に応援フレーズと受け取ってくれればいいのですが。


 それにしても、日本人は「がんばる」という言葉が大好き。もちろん、僕もその一人です。毎朝、起きた時に、心の中で「今日も一日、がんばれ、ガンバレ」と言っているくらい。勉強や仕事に打ち込んでいる人に対して簡単に心情を伝えられる言葉だけに、どちらかというと挨拶言葉に近いような存在だと思います。しかしそれでも、他人にはよほどのことがない限りこの言葉は使わないようにしているのです。
 人それぞれ、その人が出来る範囲で「がんばって」人生に立ち向かっているはず、この言葉が必要以上に「取り組んでいる人を追い込む」結果になることがないようにしたいという気持ちからです。特に必死で立ち向かっていることが充分に伝わってくる人に対しては軽い気持ちでも使わないようにしています。


 人に対しての応援フレーズとして簡単に使ってきた言葉だけど、人によってはその人を傷つける効果も充分に持ち合わせている「がんばる」という言葉。ふたつの「がんばる」が共存する今、少なくとも、暴力的な使い方だけはしないように注意しようと改めて思っています。


[626/1000]