∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ヴァレンタインデーがなんだ

【今日が、なんだって?】


 むかしむかし、あるところに、チョコレートが大好きなオジサンがいました。オジサンは毎日ひとかけのチョコレートを食べることを、とても楽しみにしていました。
 アメリカに行った時には白い箱に金色の箔押しでSee's Candiesと書かれたチョコレートが食べたくて真っ白のチョコレートブティックをキョロキョロと探し回っていました。表参道に日本一号店が誕生する20数年前からのお話です。
 パリでショコラティエのメゾンを廻った時には、おなかいっぱい味見をしたうえにどっさりと自分用のおみやげを買って帰りました。そのあげく、ヨーロッパのチョコは緯度が北より南に本拠地があるメゾンのほうが甘くておいしいな、と勝手に納得していました。
 日本ではコンビニで買うチロルチョコからアンリ・シャンパルティエの気取ったチョコまで、気になるものは手当たり次第に食べ散らかす始末。
 生まれ故郷の神戸に行くとコスモポリタンのチョコをひとつかふたつとコーヒーでひと時を過ごしたあと、モロゾフでトロッと濃厚なチョコレート・ドリンクをゴクリ。おみやげはゴンチャロフです。


 こんなオジサンにとってヴァレンタインデーは本当に「特別の日」なんです。会社員だった数年前まではいくつか「義理チョコ」なるものをいただいていました。食べるだけ食べて、どなたからいただいたのか判らなくなることが多くて困りましたが。
 ところが、ここ数年、そんな「授かりもの」から縁遠くなってしまい、オジサンとしてはフラストレーションが溜まる一方。しょうがなく、恥も外聞もなく、自分で買っています。しかし、あっちもこっちもとチョコレート・ショップを巡るのも気が引けるし、なにより財布の中身が許してくれないこともあり、アメ横の二木の菓子でハーシーやミルキーウェイをドサッと買いこむか、大胆にもチロルチョコの「大人買い」で気持ちを落ち着けている始末。
 もちろん明日からは売れ残って値下げされた逸品を探して御徒町や上野の輸入菓子問屋をウロウロすることになります。


 ヴァレンタインデーのチョコレートは自分で買うものと諦めている、ちょっと情けないオジサンがここにいます。いかがでしょう。後日で結構ですのでどっさりといただけないものでしょうか。


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